「いざ、日本の祭りへ」(1) 三社祭と浅草ガイド

氏子、宮頭、宮出し……9つのキーワードで見る三社祭2012

社会 文化

三社祭を9つのキーワードで見ると、祭りの楽しみ方が違ってくる。浅草に生まれ育った氏子の心境、浅草に魅了されて移り住んだ人の想い、神輿を復活させ継承する技、本社神輿を陰で支える人の想いなど。そこに見えるのはただ一つ「祭りをいいものにしたい」。三社祭はそんな一人ひとりが物語の「主人公」なのだ。

担ぎ手:誰もが憧れる、“器の大きな人”が出現する

浅草お祭りミュージアム館長・松本晃一(まつもと・こういち)さん。

近年、氏子の減少で神輿を担げる人も少なくなり、「担ぎ手」と呼ばれる助っ人がいないと祭りが成立しなくなっている地域が多い。浅草にある「浅草お祭りミュージアム」の館長、松本晃一さんはとにかく神輿を担ぐことが大好きで、神輿の会に入って日本各地の祭を訪ね歩いている。

「祭りのお囃子(はやし)を子守唄のように聞いて育ちました。子供神輿を担ぐようになると、大人神輿が気になりだして。頭領の半纏姿が粋でかっこいいなと、男を感じて憧れていたんです」

そんな松本さんにとっても三社祭は特別な存在。担ぎ手として長く三社祭を支えてきたが、12年ほど前、浅草に移り住み、氏子になってからは次第に意識も変化してきた。

「氏子にとって祭りがいかに大切か理解できるようになりました。もちろん、担ぐことに夢中になってしまう神輿の会の気持ちも理解できる。両方の気持ちや立場が分かることでお互いに足りないものを補えることに気づいたんです」

「三社祭」をこよなく愛する松本さん。説明にも熱が入る。

最近ではサポート役となることが増えてきたという。

「だって誰かがやらなきゃいけないことだし大事な役目だしね。浅草で行われる三社祭だからこそ、誰もが憧れるような、器の大きな人たちが登場する祭りであってほしい。氏子や担ぎ手だけでなく、見ることを楽しみにしている人たちにとっても、よい祭りにするよう協力していきたい」と目を輝かせた。

浅草お祭りミュージアムでは、さまざまな祭りグッズを販売している。写真は一例(いずれも税込)。鯉口シャツ(4830円)、帯(3500円〜4500円)、スマホポーチ(3500円~3700円)、根付キーホルダー(500円~800円)、着付けDVD(1000円)、お祭りガイド(1000円)など。

浅草お祭りミュージアム内観。(住所/〒111-0034 東京都台東区雷門2-3-5 TEL/03-6796-7800 定休日/不定休)http://omatsurimuseum.net

祭り用手拭いの晒(さらし=白い布)を裁断する松本さん。祭りの一週間前が、実は準備で一番忙しい時期でもある。

 

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