「いざ、日本の祭りへ」(2) 博多祇園山笠と博多ガイド

博多の名物グルメ探訪

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博多(福岡市)のグルメ散歩。知って得する博多の食にまつわる話題を、今回は厳選して3つ紹介する。中国人翻訳者Gの体験記も一緒にどうぞ!

Gの屋台体験記

キャベツと豚の炒め物。

あいにく雨の日だったので、あわただしく店の前に行き、のれんをくぐって入りました。すでに3、4人のサラリーマン風の男性が中で飲みながら談笑していました。大将は料理を作りながらお客さんにお酒を注ぎ、たまには一言、二言、口を挟んで楽しそうな雰囲気でした。

辛子明太子が入っているのは博多ならでは。

入口の近くに座り、食べ物と飲み物を注文しました。この時、また2、3人が入り、常連客のようで、気軽に大将とほかの客と挨拶してから、席に座りました。まだ10人足らずでしたが、もう詰めなければ座れない状態でした。初めてこのようなところに来たせいもあって、見知らぬ男の人の中にポツンといる自分が急に心細くなり、何をすればいいかわからず、黙々と食べるしかありませんでした。

大将によると、メニューの数は、百種類以上! お客さんの好みとリクエストで作ったオリジナルの料理も多いそうだ。

こんな時、コの字型になっているカウンターの向こうに座っていた方が、大将の作り立ての明太子の卵巻を「試してみて」と半分に切って親切に差し出してきました。断ろうとしたら、大将が、「屋台はこんなところだよ、みんなで一緒に分かち合うんだ」とアドバイスしてくださいました。さらに思いがけないことに、ずっと何かを書いていた隣の年輩の男性が、私に一枚の紙を見せて、「合っているかどうか見てくれないか」と言いました。

李白の漢詩を書いた日本人にびっくり

それには、李白の詩「早発白帝城」が書かれていました。「朝辞白帝彩雲間,千里江陵一日還。両岸猿声啼不住,軽舟已過万重山」、何と一字の間違いもありませんでした。近くに座っていた若い男性も驚いて、「なんで知っているの」と聞き、「一昔前の人間はみな教養として漢詩を読んだよ」と老紳士は自慢気な表情を浮かべながら話しました。すると、店内の話題は中国語に変わり、「呉越同舟」や「走為上」(勝ち目が全くないなら全軍をあげて敵を避け逃げるのが最善の策である、の意)などで話が盛り上がりました。知らないうちに私の不安も消え、自然とみんなの会話に溶け込み、あっという間に一時間余りが過ぎてしまいました。

博多・福岡の屋台メニューの代名詞、ラーメン。

短い時間の体験でしたが、なんだか屋台の魅力が少しは分かったような気がしました。屋台がみんなに愛され、毎晩のように賑わいを見せているのは、美味しい料理を堪能できるだけでなく、ここでしか体験できない風情があるのではないかと感じました。どこから来たか、どんな身分かは関係なく、ここで一緒に座れば、見知らぬ人でも友達のようにわだかまりなく気軽に接し、飲んで食べて、またおしゃべりして、笑いながら一日の疲れを癒します。このような小さなスペースの中で、温かい人情が息づいて、人々にとってストレスの発散やリラックスのための最高の場所となっているに違いありません。

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