外国人はなぜ伏見稲荷神社を“クール”と感じるのか
Guideto Japan
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人気は朱色の“千本鳥居”
伏見稲荷大社が外国人観光客に人気の理由は、何よりも“赤い千本鳥居”が続く景色がきわめて日本的ということ。京都のほかの神社仏閣のように拝観料がないこと、つまり「フリー(ただ)」というのも大きな要因のようだ。さらに、伏見稲荷のある稲荷山ではお山巡りができるが、これもウォーキングを好む欧米人に好かれている。
少し説明をすると、伏見稲荷大社は京都市伏見区にある神社。創建されたのは、奈良時代の和銅年間(708〜715年)とされている。稲荷山の麓に本殿があり、稲荷山全体を神域としており、全国に約3万社ある稲荷神社の総本社となっている。JR京都駅から所要時間は約5分というわずか2駅目の稲荷駅で降りると、駅前からすぐに参道につながっている。
境内の広さは約87万平方メートル、阪神の甲子園球場の約22倍の面積だ。社寺への初詣では、関西で約270万人という最多の参拝者を集める人気のスポット。日本全国でも第4、5位の多さを記録している。
中でも、外国人を虜にしているのが「千本鳥居」。中国から伝来した道教の神の色の「朱色」が圧倒的な存在感を放ち、周辺の自然の緑と見事なコントラストを描き出している。朱色は、魔力に対抗する色といわれる。朱の原材料は水銀。昔から木材の防腐剤として使われてきた。
鳥居の奉納は最高130万円
伏見稲荷大社には1万基以上の鳥居があるといわれる。これは願い事が実現したことへの御礼に鳥居を奉納する習慣が、江戸時代に広がったことがはじまり。個人でも奉納でき、現在は一番安い5号が17万5千円、一番高い10号が130万2千円となっている。
裏に書かれた漢字が“クール”
地元の人によると、外国人はなぜか「鳥居」を見つけるとすぐシャッターを押すという。しかも、最近、変なことに、外国人観光客は鳥居を正面から撮影するのではなく、鳥居の裏側に回って撮影しているという。
なぜ、裏側から撮るのか。そこには、奉納した人の名前と期日が漢字で書いてある。その「漢字の入った鳥居」が実に“クール”というわけだ。
伏見稲荷大社のほかの名物といえば、「おもかる石」がある。願い事を思い浮かべながら、石を持ち上げて軽く感じれば、願い事はかなうといわれている。
最後に、トリップアドバイザーの2014年の観光スポット・ランキングは、「伏見稲荷大社」がトップで、以下2位「広島平和記念資料館」、3位「厳島神社」(広島県)、4位「金閣寺」(京都府)、5位「東大寺」(奈良県)の順だった。
撮影=中野 晴生
文=原野 城治