
大きな転換点を迎えた日本のゲーム産業とその行く末
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ゲーム産業の地殻変動
アメリカで生まれたコンピュータゲーム産業は、長らく日本のお家芸であった。任天堂、ソニー、セガサミー、コナミ、バンダイナムコ、カプコンなど、世界的に売れるハードウェア、ソフトウェアを生み出す企業をいくつも輩出している。
しかし、そのゲーム産業に大きな地殻変動が起こっている。主要な携帯電話が、わずか2年程度という短い時間でフィーチャーフォンからスマートフォンに置き換わってしまった、いわゆる「スマホシフト」だ。これによって、少なくとも日本においては、ゲーム市場の中心が完全にスマートフォン上で動くゲームに変わってしまった。
具体的に業界がどう変わったのか?数字のインパクトはどれぐらいであったのか。ジャーナリストの新清士氏に具体的かつわかりやすく現在の日本のゲーム市場について整理をしていただいた。(「日本発スマホゲームで始まった新たなゲーム黄金時代」新清士)
「刀の文化」と「銃の文化」
一方で、スマホシフトがゲーム業界に強烈な影響を与えたのは日本独自の現象であるとの見方もある。確かに日本のハードウェアの世界シェアは落ちてはいるが、欧米やアジア諸国に比べると、日本のモバイルゲーム市場の伸びは突出している。なぜ、そんなことになっているのか?その背景には日本独自の「刀の文化」がある、とゲーム評論家の平林久和氏は述べる。
欧米を中心とした「銃の文化」と、日本の「刀の文化」はゲームに対して一体どんな影響を与えているのか。日本のゲームのアイデンティティとはなにか。そして、クールジャパン戦略のもと、これから日本のゲーム産業は、どのように戦っていくのか。改めてそれが問われる時代となっている。( 「『日本的ゲーム』のアイデンティティ生かした海外市場開拓を」平林久和)
新たな脱皮に向けて
プラットフォームの転換点は大きなビジネスチャンスでもある。転換点においては、既得権益者は動きの鈍い象となり、イノベーションのジレンマにとらわれる。新しいプラットフォームに先んじて対応できる柔軟性のある新興勢力が巨象の持つ既得権益を無力にし、新たな時代の主役に取って代わる、という現象がしばしば起こる。
元々、日本のモバイルゲーム市場では、「iモード」などの通信キャリアが巨象として市場をコントロールしていた。次に、ソーシャルネットワークの「gree」「モバゲー」「mixi」などが新たなリーダーになった。その度毎に、その上で戦うプレイヤーは入れ替わった。
「プラットフォームの転換」はなぜ起こるのか?それは一体どういうメカニズムなのか。数々のモバイルプラットフォームの上で、熾烈な戦いに勝ち残ってきたKLabの真田哲弥社長にお話を伺った。また日本のゲームクリエイターが世界で活躍する可能性についても、力強いご意見を頂いた。(「スマホゲームのキーマンが語るGoogle・Appleに続く第3のプラットフォームとは?」)
日本のゲーム市場は7年連続で縮小している。トップ企業である任天堂も赤字に転落するなど、日本のゲーム市場が大きな転換点を迎えていることは確かだ。しかし、上記3つの記事に共通しているのは、この時代だからこその戦い方がある、ということ。変化は起こっているが、それは決して悪い変化ではなく、次の時代に向けた脱皮が、今まさに起こっていることなのではないだろうか。
タイトル写真=世界最大級のゲーム展示会「東京ゲームショウ2014」(時事)