オホーツクの花名所「ひがしもこと芝桜公園」:北海道大空町
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青い空と雄大な自然、ピンクの丘の共演
北海道網走郡大空町は、オホーツク観光の空の玄関口・女満別(めまんべつ)空港があることで知られる。網走湖の南側から藻琴山(もことやま)まで続く自然豊かな地域で、特に春に咲く女満別湖畔の水芭蕉、東藻琴の芝桜は人気が高く、多くの観光客でにぎわう。
藻琴山の麓にある「ひがしもこと芝桜公園」では、毎年5月から6月上旬に10ヘクタールの広大な敷地一面を芝桜がピンク色に染める。それに合わせて「芝桜まつり」が開催され、地元のグルメやゴーカート、釣り堀、さまざまなステージイベントも楽しめ、長時間いてもあきないと好評だ。
芝桜は、ツツジ目ハナシノブ科の多年草。桜に似た5弁の花が芝のように地面を覆うことから芝桜と呼ばれる。四つ葉のクローバーのように、たまに花弁の数が違うものがあり、「幸運の芝桜」と呼ばれているので探してみよう。
この芝桜は自生していたものではなく、一人の男性によって広大な芝桜畑はつくり上げられたという。その功労者は、地元で生まれ育った中鉢末吉さん。終戦後に近くの町から姉が持ち帰った芝桜を自宅で大切に育て、数十年かけて100平方メートルの花壇にまで育てたそうだ。そのあまりの見事さに、「芝桜で町の人や温泉客の憩いの場をつくってほしい」と藻琴山温泉管理公社が依頼。中鉢さんは1977(昭和52)年から公社の職員になり、自宅から芝桜の苗をリヤカーで運び、一人で小高い丘を開墾した。急斜面なのでほとんどが手作業で、約8年がかりでピンク色の丘を完成させたそうだ。
それからも雑草抜きなどの手入れを続けた中鉢さんは、99年に引退し、2009年に亡くなったそうだ。現在も農薬は使えないため、3名1チームになって雑草抜きなどを手作業で行っているという。
散策の後は、遊びやグルメを堪能しながら芝桜を観賞
芝桜の丘は麓から見上げても美しいが、やはり高台にある展望台やあずまやまで登って一望してみてほしい。展望台まで続く長い階段には、人気撮影スポットのピンクの鳥居があるので、体力に自信のある人は挑戦しよう。足腰に自信のない人は、緩やかな坂道を回りながら上ることもできるし、麓からあずまやまで運行する遊覧車も利用できる。
公園を一通り散策したら、ゴーカートでピンクに縁どられたコースを走破し、大物のニジマスが狙える釣り堀で糸を垂らしたり、温泉施設で足湯につかったりしながら、のんびりと芝桜の丘を眺めることもできる。
食堂や売店では、地元産の野菜や乳製品を使ったグルメを堪能できる。1番人気は、地元の新鮮な牛乳を使ったピンク色の「芝桜ソフトクリーム」だ。
ひがしもこと芝桜公園
- 住所:北海道網走郡大空町東藻琴末広393
- 芝桜まつり開催期間:2019年5月3日~6月2日
- 開催時間:午前11時~午後6時(受け付けは午後5時まで)
- 入園料:大人500円、小学生250円
- アクセス:JR石北本線「女満別」駅、女満別空港から車で約30分
●周辺施設
ひがしもこと乳酪館
「ひがしもこと乳酪館」は、東藻琴の牛やチーズにまつわる歴史や製法などを楽しく学べる施設で、芝桜公園からは女満別空港方向へ車で10分ほど。館内には昔のチーズ作りを再現したジオラマや東藻琴について紹介する映像室があり、実際に乳酪館特製チーズの製造工程を見学することもできる。
販売・試食コーナーでは、東藻琴の牛乳やチーズなどを販売している。ここでも、カマンベールチーズ仕立ての非常に濃厚な味わいのソフトクリームが人気だ。
ひがしもこと乳酪館
- 住所:北海道網走郡大空町東藻琴409-1
- 休館日:5月~10月は月曜日、11月~4月は月・火曜日
- 開館時間:午前9時~午後5時30
- 見学:無料 ※体験交流室は有料・要予約
- アクセス:JR石北本線「女満別」駅、女満別空港から車で約20分
取材・文・写真=克(laufen)