宝くじ販売額がピーク時より30%減:一獲千金よりも堅実志向に? 賞金アップも効果なし
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「ああ、年の瀬が近づいてきたな」と感じる晩秋の恒例イベントと言えば、年末ジャンボ宝くじの発売。くじは1枚300円。2015年度から1等賞金が7億円に引き上げられ、前後賞と合わせると最高10億円となる。
「一生遊んで暮らせるかもしれない」――そんな夢を買う宝くじの売上額は05年の1兆1047億円をピークに漸減基調に転じている。東日本大震災が発生した11年は、復興支援を銘打ったグリーンジャンボ宝くじが好調だったことや、数字選択式くじの抽選回数を増やすなどの施策が奏功したが、12年度以降は再び下降トレンドに。17年度は前年比6.9%減の7886億円だった。売上額が7000億円台に落ち込んだのは1997年以来20年ぶり。新商品を投入した数字選択式くじの売り上げは2.6%増の3799億円と4年ぶりに増加したが、当選金が高額なジャンボ宝くじの売り上げが13.1%減の3256億円で、2年前と比べ約1000億円も減少したことが響いた。
売上減の背景には、宝くじ購入の主力層が高齢化したことや、2001年に販売開始したスポーツ振興くじ(toto)に顧客が流れたことなど複数の理由があると指摘されている。インターネット販売やクレジットカード決済対応への遅れで、若い世代の取り込みに失敗したことも響いた。
さらに、当たる確率の極端に低い「夢の一獲千金」を狙うよりも、「損をせずに着実にリターンを確保する」風潮も影響している。寄付額から2000円を引いた額が所得税や住民税から控除され、2000円以上の特産品などを返礼品としてもらえる「ふるさと納税」が活況を呈しているのとは対照的だ。
宝くじの販売主体は都道府県や政令市などで、収益は自治体の自主財源として、公共事業や少子化対策などに使われる。1枚300円の売り上げのうち、当選者に還元されるのは5割弱の140円。販売経費などを除いた114円が収益金となる。2018年の年末ジャンボの収益金の一部は大阪北部地震、西日本豪雨、北海道地震の被災地支援に充てられる。
バナー写真:年末ジャンボ宝くじの発売日、東京・銀座の西銀座チャンスセンターでは早朝から大勢の人が列をつくった。(時事)