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2014年の訪日外国人、1300万人超す—旅行者の消費額は2兆円に

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日本を訪れた外国人旅行者は2014年に1341万人と過去最高を記録。滞在中の支出総額も推計で2兆円を上回った。円安効果や、外国人向けの消費税免税の範囲拡大などが追い風になった。

国・地域別では台湾がトップ

国土交通省・観光庁によると、2014年に日本を訪れた外国人旅行者は1341万3600人(推計)で前年比29・4%増加し、2年連続で最高を更新した。このうちアジア地域からの旅行者は1061万人と全体の79%を占めた。中でも東アジアが892万人で66・5%に達する。国・地域別では、1位が台湾の282万人、2位が韓国の275万人、3位が中国の240万人、4位が香港の92万人、5位が米国の89万人。次いで、タイ、オーストラリア、マレーシア、シンガポール、英国の順。

2014年の訪日外国人旅行者数及び割合(国・地域別)

国・地域 人数 割合(%)
台湾 283万人 21.1
韓国 276万人 20.5
中国 241万人 18.0
香港 93万人 6.9
米国 89万人 6.6
タイ 66万人 4.9
オーストラリア 30万人 2.3
マレーシア 25万人 1.9
シンガポール 23万人 1.7
英国 22万人 1.6
フィリピン 18万人 1.4
カナダ 18万人 1.4
フランス 18万人 1.3
ドイツ 14万人 1.0
ベトナム 12万人 0.9

出典:日本政府観光局(JNTO)

2014年に訪日外国人が日本滞在中に使った旅行消費額も2兆円305億円と、前年比43・3%増加した。支出の内訳は、買い物代が7000億円超と全体の35%程度を占めるほか、宿泊費(約20%)、飲食費(約20%)など。外国人観光客1人当たりの平均支出額は約15万円になる。国・地域別では、中国人旅行者の消費額が5583億円と全体の27・5%を占め、次いで台湾が3544億円(全体の17・5%)、韓国が2090億円(10・3%)と、東アジアの近隣国・地域からの旅行者の消費額が多い。

円安や免税範囲拡大などが追い風に

訪日外国人旅行者が増え続けている理由ついて、日本政府観光局(JNTO)は、①短期滞在査証(ビザ)発給要件の大幅緩和、②消費税免税制度の拡充、③アジア地域の経済成長に伴う海外旅行需要の拡大、④円安進行による訪日旅行の割安感の浸透――などを挙げている。消費税が免除される範囲は、従来の家電製品や衣類に加え日用品や飲食料品などにも広がった。これに円安効果が加わり、日本で高級ブランド品を購入した旅行者からは「自国で購入するより4割程度安い」(中国人旅行者)といった声も聞かれる。

1人当たりの消費額が大きい中国人旅行者の増加には、悪化していた日中関係に改善の兆しが見えてきたことも追い風になったとみられる。今年も中華圏での旧正月に当たる「春節」の連休(2月18~24日)には多くの中華圏旅行者が訪れる見通しで、各地の免税品売り場などで買い物をする光景が話題となりそうだ。

日本の個人消費は、2014年で推計293兆円規模とみられる。このため、外国人客による国内での2兆円超の支出は、名目国内総生産(GDP)の0・4%程度になる。「これに観光業界へのプラス効果などを含めると、訪日外国人が日本のGDPを押し上げる経済効果は2・7兆円程度になる」(民間エコノミスト)との推計もある。

ただ、各国・地域の外国人訪問者数国際比較では、日本の順位は2013年時点で27位と前年(33位)より上昇したものの、“観光大国”への道のりはまだ長い。

政府は訪日旅行促進事業をさらに推進

政府は東京オリンピック・パラリンピックが開催される2020年までに訪日外国人旅行者数「2000万人達成」の目標を掲げている。これを実現するため、訪日旅行促進のためのビジット・ジャパン事業(※1)の重点市場を、14カ国・地域から20カ国・地域に拡大し推進する。外国人旅行者を迎える日本国内の「おもてなし」ムードも徐々に高まっている。政府は2015年についても「1500万人を超えることが期待される」(国交省)としており、このペースが続けば2020年時点での目標達成の可能性は大きい。

文・原田 和義(編集部)

タイトル写真:明治神宮を訪れた外国人観光客=2015年1月12日、東京都渋谷区の明治神宮(時事)

(※1) ^ ビジット・ジャパン事業…政府はインバウンド施策の重点市場として、韓国・台湾・中国・米国・香港・英国・フランス・ドイツ・オーストラリア・カナダ・シンガポール・タイ・マレーシア・インドネシアの14カ国・地域に加え、2014年度補正予算で6か国(フィリピン・ベトナム・インド・イタリア・ロシア・スペイン)を追加した。 

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