消費税率(付加価値税率)の国際比較
政治・外交
日本の現行消費税率5%は、主要国・地域の中ではカナダ、台湾とともに最も低い水準にある。しかし、生活必需品などへの軽減税率はなく、単純比較は難しい。
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安倍晋三首相は2013年10月1日、現行5%の消費税率を2014年4月から8%へ引き上げる方針を表明した。一連の経済指標や企業の景況感が改善傾向を見せているため、予定通り実施することにした。ただ、消費増税に伴う景気の腰折れを回避するため、5兆円規模の経済対策を併せて実施することを明らかにした。
日本の消費税率は低いが、軽減税率などはなし
財務省資料を基に、わが国の消費税率と各国・地域の付加価値税率(標準税率)を比較すると、日本の現行消費税率はカナダ、台湾とともに主要国・地域の中では最も低い水準(5%)にある。ただし、カナダでは連邦の財貨・サービス税(付加価値税)のほかに、ほとんどの州で州の付加価値税などが課せられている(例:オンタリオ州8%など)。またアメリカでは、州、郡、市により小売売上税が課せられている。
英、豪、カナダでは生活必需品は0%
日本の消費税率は5%と低いため、食料品を含めすべての品目にこの税率が適用され、生活必需品などへの軽減税率もない。これに対し、欧州連合(EU)加盟国の多くは消費税のうち標準税率は20%前後でも、食料品にかかる税率を低く抑え、特定品目に軽減税率を適用している国が多い。また北欧諸国のように、高福祉の国では税負担も高くなる。
このため、国税収入に占めるわが国の消費税収入の割合は約22%で、欧州各国とほぼ同水準になる。日本のように単一税率の国と、欧米のように複数税率の国を単純比較すると誤解を招きやすい。国民の税負担を国際比較するには、消費税率だけではなく、所得税や法人税などを含めた税体系全体や社会保障の水準などを見極める必要がある。
なお、サウジアラビアやアラブ首長国連邦など中東湾岸地域の産油国、バミューダ諸島などイギリスの海外領の国では、消費税に当たるものがない。