日本人にとっての「台湾の魅力」とは何か

文化

一青 妙 【Profile】

旅の決め手は日常風景から

国華街が『BRUTUS』の表紙になったことに、台湾の人々は不満かもしれない。しかし、考えてみてほしい。日本についても、台湾の人々は日本人が想像もつかないぐらい地方の隅々まで訪れて、日本人が気付かない魅力を見つけ出しては楽しんでいるではないか。

一青妙氏提供

海外の人々がその国に対して期待することと、現地の人々の思いにギャップが生じることはままある。今でも欧米の雑誌には「芸者」や「忍者」が表紙を飾ることがある。日本人はそういうとき苦笑いを浮かべつつ、それでも関心を持ってくれることは悪いことではないと納得している。

『BRUTUS』は主に男性向けのトレンド雑誌だ。これまで多くの女性誌が台湾を取り上げてきたが、その中にあって『BRUTUS』が台湾特集を組んで表紙に国華街を取り上げた意義は大きい。今回の事で日本人が台湾を嫌うことはないだろう。日本では台湾は相変わらず人気旅行スポットで、台湾が好きな日本人はどんどん増えている。台湾の人々にはそれを分かってほしいし、もっと自分に自信を持ってほしい。

台南の街には、今の日本人が求める台湾像が凝縮されている。国華街は単に入り口=表紙にすぎないのだ。

(バナー写真、文中写真はいずれも筆者提供)

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一青 妙HITOTO Tae経歴・執筆一覧を見る

女優・歯科医・作家。台湾人の父と、日本人の母との間に生まれる。幼少期を台湾で過ごし11歳から日本で生活。家族や台湾をテーマにエッセイを多数執筆し、著書に『ママ、ごはんまだ?』『私の箱子』『私の台南』『環島〜ぐるっと台湾一周の旅』などがある。台南市親善大使、石川県中能登町観光大使。『ママ、ごはんまだ?』を原作にした同名の日台合作映画が上映され、2019年3月、『私の箱子』を原作にした舞台が台湾で上演、本人も出演した。ブログ「妙的日記」やX(旧ツイッター)からも発信中。

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