「いざ、日本の祭りへ」(1) 三社祭と浅草ガイド

“江戸っ子”気分でぶらり浅草

江戸庶民の義理人情が今も残る浅草。江戸随一のハイカラな街として、当時最先端の食文化や流行グッズを発信する粋なお洒落スポットでもあった。いざ、江戸っ子が大好きだった“浅草ワールド”へタイムスリップ!

太皷館:世界の太鼓に出会える空間

1861年創業の宮本卯之助商店。三社祭の本社神輿を復元したことで知られているが、太鼓や祭礼具の取り扱いがそもそもの始まり。江戸時代、太鼓は庶民の生活に深く根付いており、時を知らせる「時の太鼓」がある城下町には太鼓屋が存在していた。宮本卯之助商店も茨城県の土浦で太鼓店として創業した。

「現在、太鼓は『音やリズムを楽しむ楽器』として人びとに親しまれていますが、そういった芸能の発生以前に、合図としての役割を担い、また宗教行事や祭礼と密接な関係がありました。日本で太鼓が純粋に『音楽』として認識されるようになったのは、実は戦後のことです。古くは直会(なおらい=儀式の後の飲み食いの宴)で使われた太鼓が、『伴奏音楽』として芸能となり、それが今日では独立して、『組太鼓』やソロの演奏などに使われるようになったんです」とは、宮本卯之助商店広報部・鈴木啓美さん。現在、宮本卯之助商店では神社仏閣用の太鼓はもちろん、雅楽器、御囃子用、歌舞伎や能楽などの伝統芸能用、舞台演奏用太鼓など、さまざまな太鼓を製造、その品質はアーティストからも高く評価されている。

インドの太鼓の種類は豊富で250種を超える。

ドーンと心にまで響き渡る太鼓の音…そんな太鼓の魅力に触れられるのが、宮本卯之助商店が設立した世界の太鼓資料館「太皷館」だ。和太鼓だけでなく、世界各国から蒐集してきた900点を超える太鼓から常時約200点を一般に公開。その多くは実際に触ったり、音を出して体験できる。

アジア、アフリカ、ヨーロッパ、オセアニアなど地域ごとに展示された太鼓は、鼓面を直接たたくものもあれば、スティックを使ったり、空気に触れさせて音を出したりと実にさまざま。太鼓の概念が覆されそうだ。「中でもインドの太鼓の種類は豊富で250種を超えているほど。その多くが2000年前からほぼ変化せず伝承されています。また、世界の太鼓をよく見ると、遠く離れた地域なのに基本的な形態が共通しているものがあります。共通点を探しながら世界の太鼓に触れれば楽しさ倍増ですね」とは、「太皷館」の学芸員・蟻川純子さん。太鼓の意外性や魅力を浅草の「太皷館」で是非体感してもらいたい。

ガラムート(パプアニューギニア)。叩き方のパターンはさまざまな合図となり、コミュニケーションの手段として使われる。

風音車(かぜのおと、日本)。手前のレバーを時計回りに回すと風の音が出る。自然の音を楽器で表現するのは、日本特有ともいえる。

バラフォン(アフリカ)。木片の下に、共鳴用のひょうたんが取り付けてある。木琴のような音を奏でる。

クイーカ(ブラジル)。ぬれた布で、鼓面裏に固定された盆をこすることで音を出す擦り太鼓。

下の動画で、ガラムート、風音車、バラフォン、クイーカの音が聴けます。

長胴(ながどう)太鼓(日本)。演奏用、儀式用などで革の部分の処理の仕方が違う。演奏用【写真上】は革が緩くなってきた時、その革自体を使って締め直す。そのため、耳(縁)の部分を残して、竹の筒を通して引っ張れるようになっている。神社仏閣などの儀式用【写真下】は、張りかえないことを前提にしているため、見た目の美しさを優先して耳の部分を切り落としてしまう。

宮本卯之助商店西浅草店(1F)では、お祭りグッズも展示・販売している。

本革を使った太鼓ストラップ【手前】長胴太鼓(1785円)。【奥】プチ樋とプチ締(1260円)。

獅子舞にも男女の区別がある。【右】オスの獅子舞は宇津(うず)と【左】メスの獅子舞は権九郎(ごんくろう)。角や歯の形などで見分ける。【手前】獅子舞魔よけお手玉(630円)。

太皷館 住所/東京都台東区西浅草2-1-1 宮本卯之助商店 西浅草店ビル4F TEL/03-3842-5622 開館時間/10:00~17:00 定休日/月・火曜日(ただし、月曜が祝日の場合は開館) 英語の解説/一部あり http://www.miyamoto-unosuke.co.jp/taikokan/ (イベント情報はhhttp://www.miyamoto-unosuke.co.jp/event/index.html

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