「いざ、日本の祭りへ」(1) 三社祭と浅草ガイド

“江戸っ子”気分でぶらり浅草

江戸庶民の義理人情が今も残る浅草。江戸随一のハイカラな街として、当時最先端の食文化や流行グッズを発信する粋なお洒落スポットでもあった。いざ、江戸っ子が大好きだった“浅草ワールド”へタイムスリップ!

東京和晒(とうきょうわざらし):職人が染める手拭いで、江戸のお洒落を楽しむ

1889年、生成り色の木綿生地を白く染める工場として創業。当時はワラを燃やした灰を水に溶かした灰汁(あく)で煮てから石けんで洗い、さらし粉を使って漂白し、何度もゆすぐなどの工程を経て、生地を白く均一に染めた。

「生地を白く染めることで、浴衣(ゆかた)や手拭いの絵柄を色鮮やかに染めることができます。いかに上手に”さらす”(=白くする)かが職人の腕の見せどころです」とは、「東京和晒」四代目ご主人の瀧澤一郎さん。

1960年代は、浴衣の生地を白く染める技術で大繁盛。大勢の職人を抱え、全国で生産される浴衣用白生地のなんと3分の1を賄っていた。しかし、時代とともに和装離れが進み、浴衣の需要は減少。手染めを生業とする全国の工場も壊滅状態となってしまった。

一方、人気となったのが手拭い。バンダナのように頭に巻くなど、江戸流ファッションのお洒落さも脚光を浴びるようになった。現在、東京和晒では、全国の職人たちと協力し、手拭いを受注生産しており、オーダーメイドの注文は9割を占めるという。

「祭りは浅草の象徴ですが、中でも三社祭は別格で、莫大なエネルギーが街中にあふれます。この下町の結束を守りたくて、“浅草お祭りミュージアム”を設立しました」

浅草お祭りミュージアムでは、祭りに関する布物と文化を発信。手拭い、半纏製作をはじめ、さまざまな相談相手となってくれる。

手拭いを染めるための型紙。和紙に紗(目の細かい絹製の網)をうるしで貼っている。手で切り、手で貼る、繊細な仕事。

上の型紙で染めた手拭い。「注染(ちゅうせん)」といい、職人による手染めの技法。

四代目ご主人の瀧澤一郎さん。「あまり知られていませんが、手拭いは手軽にオーダーメイドできるんですよ」。

手染めの手拭い1枚800~1000円。オーダーメイドは100枚3万円~(手染めは5万円~) 東京和晒 住所/東京都葛飾区立石4-14-9 TEL/03-3693-3334 http://www.tenugui.co.jp/

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