「いざ、日本の祭りへ」(1) 三社祭と浅草ガイド

“江戸っ子”気分でぶらり浅草

江戸庶民の義理人情が今も残る浅草。江戸随一のハイカラな街として、当時最先端の食文化や流行グッズを発信する粋なお洒落スポットでもあった。いざ、江戸っ子が大好きだった“浅草ワールド”へタイムスリップ!

神谷バー:日本初のバーで、名物カクテルにしびれる

知る人ぞ知る「神谷バー」。1880年、日本初のバーとして浅草に創業した。下町の社交場として親しまれてきたこのバーには、創業直後に生まれた名物カクテルがある。その名も「デンキブラン」。電気がまだ珍しかった当時、舶来品などの目新しいものは“電気○○○”と呼ばれたため、こう名付けられた。「ブラン」は、カクテルのベースとなっているブランデーのこと。そのほかジン、ワイン、キュラソー、薬草などがブレンドされたカクテルはほんのり甘く、アルコール度数30度(電氣ブランオールドは40度)という強さ。もともとは45度もあったというから、電気のようにしびれる強烈なカクテルだったに違いない。

「初代が考案したデンキブランのレシピは今も秘伝です。初めて飲むのに、なぜかなつかしい、郷愁を感じるカクテルだと言われます」とは五代目ご主人の神谷直彌さん。

かつては浅草六区(ロック)で活動写真を見終わるとその興奮を胸に神谷バーへ直行、小さなグラスでデンキブランを飲むのが庶民にとって最高の楽しみだったとか。デンキブランとともに生ビールを飲む人も多く、つまみは牛もつの煮込み、豚肉と玉ねぎを串にさして揚げた串かつなどまるでビアホールのような気取りのなさ。下町浅草に生まれたバーの、自由な空気とともに味わいたい。

150席もある店内は、ビアホールのような雰囲気。休日は特ににぎわう。

琥珀(こはく)色の名物カクテル「デンキブラン」260円(「電氣ブランオールド」は360円)。ほんのり甘いが、アルコール度数は30度と強いのでご注意。

レトロな雰囲気のカウンターでデンキブランを注ぐバーテンダー。

明治時代の店内は、長いカウンターに並んで座るスタイルだった。

神谷バー 住所/東京都台東区浅草1-1-1 TEL/03-3841-5400 営業時間11:30~22:00 定休日/火曜・予約可(平日のみ8人まで) 英語のメニュー/あり 平均予算/2000円 http://www.kamiya-bar.com/

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