禅の言葉4 一行三昧
文化 言語
禅語とは、短い一句の中に禅の心や悟りの境地を込めた言葉。難解な禅の教えを理解するための手助けになる。ブラジル人漫画家が、禅語の意味を紙芝居のように仕立てた。第4回は、「一行三昧」。
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【一行三昧（いちぎょうざんまい）】
一つの事に精神を集中して、無心で取り組むことを指す。
散らかった部屋の片付け、あるいは根気のいる手仕事。初めは大変に思えたのに、いつしか時間を忘れて没頭し、ふと気づくと仕事のほとんどが片付いていた……という経験はないだろうか。
意に沿わない事であれ、好きな事であれ、雑念を捨て、「雑念を捨てる」という考えさえ捨てて、いま自分の目の前にある仕事に全身全霊を傾けて没頭する。後でわれに返ってみれば、その体験が何物にも代えがたい豊かな時間であったと気付くだろう。
登場人物
典子：わがままな中学生
日曜の朝、駅で……
「…車両故障のため運転を見合わせております」
「そーなのよ、全然動かないって。間に合いそうにないから、みんなで楽しんでね」
「ありえなーい！ 遊園地楽しみにしてたのに」
「ポツポツポツ…」
ザーー
「うわっ、最悪！」
「席空いててよかった。うわー、しばらく出られないなあ」
「もー、やだ、傘持ってないのに。天気予報、どうなってんの？」
「げっ！ 電池切れ? !」
「雨がやむまで課題図書でも読むか…。本読むのかったるいけど」
典子が読み始めると…
「あれ？」
「雨の音で他の音が消えて……」
「……いいかも」
ヒュー
「きょ〜」
「ギャッギャッギャッ」
「ゴゴゴゴー」
ピカッ
「シーーーン」
すると典子の手元に、不意に日光が差す
「あっ」
「虹！」
おわり
漫画：モクタン・アンジェロ
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モクタン・アンジェロMOKUTAN Angelo経歴・執筆一覧を見る
漫画家。ブラジル出身。14歳のとき日本の漫画に感銘を受け漫画家を志す。漫画と日本語を勉強し、2007年、東京造形大学大学院に留学。卒業後、IT企業に5年間勤務。2019年、第22回文化庁メディア芸術祭のマンガ部門で、『レオノーラの猛獣刑』が審査委員会推薦作品に選ばれる。