おもてなしの心あふれる「日本のトイレ」

行ってみたい12のトイレ

文化

日本を訪れた外国人から愛されているのが、滞在中に利用する「日本のトイレ」。清潔さと快適さの追求によって、旅をより楽しくすると絶賛されている。今回は日本中の珍しいトイレを取材し続けるマリトモさんに、訪れてみたくなる厳選12カ所を紹介してもらった。

8.「ニッポン最古トイレ」

写真:マリトモ『ニッポンのトイレほか』(アスペクト/2013年)

現存する日本最古のトイレが、京都市東山区にある東福寺の「百雪隠(ひゃくせっちん)」。幅14メートル×長さ35メートルと巨大で、重要文化財に指定されている。そのため、現在は見学のみで、残念ながら使用はできない。
「100人が一度に用を足せるという東司(とうす、トイレの意)です。昔は、ふん尿を肥料として売ることができたので、寺院にとっては大切な収入源でした。そのため、使用時には多くの作法が決まっていて、『禅僧には用便も修行の一つ』と言われていたそうです」(マリトモさん)

9.「修行トイレ」

写真:マリトモ『ニッポンのトイレほか』(アスペクト/2013年)

静岡県袋井市にある禅の修行道場「可睡斎(かすいさい)」のトイレには、便所を清める功徳を持つ烏芻沙摩明王(うすさまみょうおう)が祀(まつ)られている。
「ここは珍しい男女兼用のトイレです。仏像だけでなく、さい銭箱も置かれています。海外では、チップが必要なトイレも多くあります。その感覚でおさい銭を納めれば、ご利益があるかもしれないのです」(マリトモさん)

10.「ご当地トイレ」

写真:マリトモ『ニッポンのトイレほか』(アスペクト/2013年)

海外にも展開する人気ラーメン店「一風堂」では、地域の特色をトイレに盛り込んでいる店舗がある。愛知県名古屋市の「本町通り店」では、愛知を本拠地とするトヨタ自動車に敬意を表した内装となっている。
「単純に自動車関連グッズを並べるのではなく、本物のエンジンをぶった切り、オブジェとして壁一面に美しくディスプレイする発想は素晴らしいです。また、日本産ジーンズ発祥の地・倉敷店は壁紙がデニムになっているなど、一風堂さんはトイレにも妥協がない。『トイレぴかぴか掃除術』と題して、スタッフ一同でトイレ掃除を徹底しているそうです」(マリトモさん)

11.「お部屋トイレ」

写真:マリトモ

岡山県岡山市にある豆腐チゲ専門店「スンドゥブ・トーフハウス」には、「シアトル出身の80年代が大好きなピーター(27歳)の部屋がトイレになった」というコンセプトの下に作られた、店主の遊び心が詰まったトイレがある。
「おいしいだけの店でなく、客さんにお土産話も持ち帰ってほしいと考えたそうです。細部に至るまで徹底した作り込みで、逆に『部屋ではなく、本当にトイレなの!?』という違和感とともに、トイレの概念が覆される感じが面白いですね」(マリトモさん)

12.「銭湯トイレ」

写真:マリトモ

大分県大分市の名物料理「琉球丼(りゅうきゅうどん)」を生み出したことで有名な「二代目与一」。ここのトイレには富士山を中心にした風景が、まるで銭湯画のように描かれている。
「こちらは、トイレとアートの融合で町おこしを図ったアートフェスティバル『おおいたトイレンナーレ2015』の出展作です。トイレと同じ水廻りである銭湯で富士山の絵を眺めながらお湯に浸かるように、リラックスして用が足せそうですね」(マリトモさん)

【書籍情報】

『ニッポンのトイレほか』

著者=マリトモ
出版社: アスペクト
価格:¥1000(税別)
言語: 日本語

※今回紹介したトイレを含め、マリトモさんが10年以上の歳月をかけて取材撮影した日本各地の面白いいトイレが紹介されています。監修:マリトモ
写真:マリトモ『ニッポンのトイレほか』(アスペクト/2013年)
(バナー写真は「ガーデントイレ」)
文:ニッポンドットコム編集部

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