神社に行こう! 神社空間を読み解く⑫装束
Guideto Japan
文化 暮らし
神社空間は、鳥居、注連縄(しめなわ)、狛犬、本殿などさまざまなパーツによって構成されている。そこに込められた意味を知ることで、神社への理解度がぐっと深まるはずだ。この連載シリーズでは、鳥居から社務所に至るまで12の神社アイテムを参拝の順に紹介してきた。今回が最終回だ。
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装束(しょうぞく)
神職の衣装、およびその用いる道具は独特の意匠である。大陸伝来の装束が元になったが、遣唐使の廃絶後に発達して独自のものになった。現在の日本人が生活の中で着ることはなく、神職のみのものである。また、神職は長く男性のみがたずさわるものであったため、近年まで女性用はなかった。現行の女性神職用の装束は男性用を改変整備したものである。
正装は「衣冠」で、冠(かんむり)をかぶり、袍(ほう)と袴(はかま)を着る。階級により色や紋が異なる。
礼装は「斎服(さいふく)」で、衣冠と同じ形であるが、純白・無紋である。色や紋の付いた衣冠はもとは官僚公卿の装束であるが、斎服は純粋に神職のための神事専用である。なお、斎服は正装として代用することもできる。
常装は「狩衣(かりぎぬ)」もしくは「浄衣(じょうえ)」。狩衣はその名に由来するように、かつて公卿が鷹狩りの際に着用したもので、活動に適している。神職の普段着でもあるので、一般の人が神社で日常的に見かける姿。冠は着けず、烏帽子をかぶる。袴は職位によって色が異なる。宮司・権宮司などの管理職は紫色で、それ以外の禰宜(ねぎ)・権禰宜(ごんねぎ)などは浅葱(あさぎ)色である。
なお、男性神職は、いずれの装束においても必ず「笏(しゃく)」をたずさえ「淺沓(あさぐつ)」を履く。
ちなみに、巫女は神職ではなく、補佐役である。「緋色の袴」が特徴で、社務一般を行う。神職と異なり資格はとくに必要ないが、一般に未婚の女性とされている。
(バナー写真:物部神社の神職)
写真=中野 晴生イラスト=井塚 剛