忍者の里「伊賀」と「甲賀」を訪ねる
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1. 忍者を知る、見る、感じる「伊賀流忍者博物館」
伊賀鉄道上野市駅から歩いて5分ほどの上野公園(伊賀上野城公園)内にある「伊賀流忍者博物館」。施設内には忍者屋敷、忍者体験館、忍者伝承館があり、屋外広場では定期的に忍者ショーが開催されている。
忍者屋敷は一見、何の変哲もないかやぶきの農家だが、屋敷内にはからくりが施されている。忍者姿の案内係は、「からくりは現在のセキュリティーシステムのようなものです。伊賀では、どの家にも2、3カ所のからくりが設置されていました」と説明する。
忍者体験館には、忍者の道具や史料が展示されている。忍術書に基づいて作られた手裏剣などの忍具や、実際に使っていたとされる水蜘蛛(みずくも)など400点以上が展示されている。手裏剣は実戦では使われなかったらしく、案内係も「戦うのは侍で、忍者は逃げたり、隠れたりするのが専門です」と言う。
忍者の歴史や暮らしを紹介する忍者伝承館では、装束や日用品が展示されている。それらから忍者ならではの知恵を見付けるのも興味深い。子ども向けのクイズコーナーや、お土産品の売店もある。
- 住所:三重県伊賀市上野丸之内117
- 入館料金:高校生以上756円、4歳~中学生432円
- 開館時間:午前9時〜午後5時(入館受付は午後4時30分まで)
- 休館日:12月29日~1月1日
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2. 忍者気分を満喫できる「甲賀の里 忍術村」
鈴鹿山麓の「甲賀の里 忍術村」は、広大な敷地内に忍術博物館、からくり忍者屋敷、手裏剣道場といった施設がある。忍者道場では、石垣登り、塀越え、塀横歩きなど九つの修行を体験できる。
忍者屋敷は、実在した甲賀忍者の子孫「藤林家」の旧屋敷を移設したもの。伊賀の忍者屋敷同様、家の中に隠し出口などのからくりが備わっている。
「この辺りは交通の要所で、土地争いが多かったようです。甲賀は突出した領主がいなかったことから、団結心が強い自治組織が発達しました」と、忍者村職員の北沢晃さんが解説してくれた。
忍術博物館には、忍術書「萬川集海(まんせんしゅうかい)」をはじめ、史料や道具などが展示されている。萬川集海は各家にあったというが、北沢さんは「忍術は秘術ですから、肝心なことは書いてありません。重要なことは口述で伝え、それを記憶していたようです」と言う。
- 住所:滋賀県甲賀市甲賀町隠岐394
- 入村料金:大人1030円、中高生820円、小学生730円、幼児520円
- 開村時間・定休日:時期によって変動 ※公式WEBサイトで要確認
3. 由緒ある忍者屋敷が現存する「甲賀流忍術屋敷」
元禄年間(げんろくねんかん、1688~1704年)に建てられた忍者屋敷を公開しているのが、甲賀市内にある「甲賀流忍術屋敷」だ。この屋敷を建てた望月出雲守は、1487年の鈎の陣(まがりのじん)に参加した甲賀53家の筆頭。手入れの行き届いた庭を抜けると、薬の看板が入り口に掲げられている。忍者は日中、山伏の姿で薬やお札を持って各地を巡り、情報を集めたとされるが、望月家も薬の製造販売を行っていたようだ。甲賀市は現在も製薬業が盛んな地である。
屋敷の中に入ると大広間が広がっていて、からくりなどを紹介する動画が見られる。隠し階段や屋外につながる抜け穴といった仕組みは当時のまま。忍術書や忍具などの資料も展示している。
- 住所:滋賀県甲賀市甲南町竜法師2331
- 入館料金:中学生以上700円、4歳~小学生400円
- 開館時間:午前9時〜午後5時(入館受付は午後4時30分まで)
- 休館日:12月27日~1月2日
撮影=大島 拓也