
鈴木瑛美子:圧倒的な歌唱力で注目される若きディーヴァ
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いつも家族と共に音楽がある
昨年末に発売されたCD『喜びあふれる』は、世界的にも珍しい親子4人組のファミリーアルバムとなった。そこには、彼らのこれまでの軌跡や思いが込められている。父の杉本智孝(本名鈴木智孝)は、「第18回世界歌謡祭」(1987年)に日本代表として出演した経歴をもつ、ミュージカルの脚本、演出、振り付けなども手掛ける音楽家だ。母の恵子もモデルや女優として活躍する。姉の梨紗子(りさこ)は4歳からモデルとして活動し、歌手としても嘱望される逸材である。
鈴木瑛美子は、自分の「原点」である家族と一緒に歌うことを何よりも大切にしている。いくつかの大手レコード会社からオファーを受ける中、「私のわがままを聞いてもらい、今回のアルバムが実現しました」とうれしそうに話してくれた。
ファミリーアルバムの発売を記念して行われたミニ・コンサートでは、家族4人で6曲を熱唱
母親のお腹にいる頃から彼女の周囲には音楽があふれていて、音楽があることはごく自然なことだった。
「これまで英才教育やボイストレーニングなどをしたことはまったくありません。子供の頃には、ディズニー映画やテレビドラマの主題歌をよく聴いて歌っていましたね。最近では、アメリカンポップスの気になるアーティストたちの曲に夢中になっています」と父の杉本さんは語る。
両親は自主性を尊重し、コンサートやイベントの出演などは全て彼女自身に判断させてきたという。2015年に「全国ゴスペルコンテスト(ゴスペル甲子園)」ボーカル部門で優勝。人気テレビ番組のカラオケ・コンペティションに出演して「最強ゴスペル女子高生」と騒がれ始めても、彼女はそれまでの生活スタイルを変えることはなかった。
2007年(8歳)、レコーディングスタジオで(写真提供:スギモト☆ファミリー)
2010年(11歳)、木更津港まつり「やっさいもっさい踊り大会」に家族と共に出場し準優勝する(写真提供:スギモト☆ファミリー)
全国ゴスペルコンテスト「ゴスペル甲子園2015」で、ビヨンセの『Listen』を歌いあげ栄冠を勝ち取る
(C)2015 YOKOHAMA GOSPEL FESTIVAL / GOSPEL KOSHIEN(映像協力:ガチンコ・フィルム)
人々を音楽で勇気づけたい
「有名になりたいとか、テレビに出たいとか、そういうことを考えたことはありません。ただみんなが喜ぶ顔が見たいから、自分も幸せでいたいから、歌っています」。ニューアルバムの発売を記念したミニコンサートで彼女は聴衆に向かってこう語り掛けている。偽りのない心からのメッセージだろう。
家族と一緒にハーモニーを奏でる瞬間が大好きで、やがて歌うことの虜(とりこ)になっていったという。歌で人々に感動を与え、喜んでもらうことが彼女の原動力になっている。
今年4月、彼女は大学生となった。世界中の人たちともっとコミュニケーションを図りたいとの思いから外国語学系の大学に入学し、現在、英語とスペイン語を学んでいる。そしてあくまでも学業と音楽を両立させながら、自分が愛し、敬い、幸せを感じることができる家族や仲間と共に「世界の人々を音楽で勇気づけられるような人になりたい」という目標に向かって邁進(まいしん)している。
「将来、私が結婚して新しい家族ができても、自分の子供も含めて父母と姉家族と3世代一緒に今までどおり歌い続けていきたいです」と彼女は胸のうちを話してくれた。
最後に世界の人々へのメッセージを聞くと、「Love & Peace、Love & Sing」という言葉が返ってきた。
取材・文=増田 智子(マクスト・コーポレーション)
撮影=山田 愼二