ポップカルチャーは世界をめぐる

オタク文化、海外へ

文化

日本のマンガやアニメ、ゲームを中心とする「オタク文化」が世界に広がっている。東京、名古屋、そしてパリ。この夏3都市で開催された「オタク・イベント」を通じ、世界を席巻しつつあるポップカルチャーに迫る。

ジャパン・エキスポが驚異的な飛躍を遂げた背景には、アニメやマンガといったオタク文化の浸透がある。会場内での様々なデモンストレーションを熱心にビデオに撮ったり、アイドルソングや「アニソン」(アニメのテーマソング)で踊ったり、グッズを買い集めたりする彼らの行動は、日本のオタクとほとんど変わらない。

面白いのは「あなたはオタク?」と尋ねると、ほとんどが「もちろん!」と答える。だが、すぐさま「でも、フランスで言うオタクの意味でね」と付け加えてくる。フランスでは、日本マンガ・アニメのファンをオタクと呼ぶ。「フレンチ・オタク」には、自分たちがオタクであると誇る一方で、「マニアックで引きこもった感じ」の日本のオタクとは違う、という思いがあるのだ。

日本のオタクとはここが違う!

フランス人オタクの特徴は、日本のオタクのように知識やコレクションを誇ることをせず、行動が社交的で積極的なところだ。「イベントを皆で盛り上げて楽しもう」というパーティー的なノリは、日本の「ストイックな」オタク・イベントとは雰囲気が大きく異なる。

エキスポに華やかな彩りを添える「コスプレ」を例に挙げてみよう。日本のコスプレイヤーたちが、あまり知られないキャラクターに扮してマニアックな路線を好むのに対し、フランスのコスプレイヤーたちは、「皆が知っている」「かわいい、カッコいい」という理由でメジャーなコスチュームを選ぶ人が多い。

日本のように細部にこだわり、完全コピーとクオリティーの高さを誇示した衣装を作るよりは、「自分に似合う」ようにアレンジを加える者が少なくない。日本の会場では安全上の理由で規制されている長物(刀など長尺の持ち具)も、ジャパン・エキスポでは使用OK。コスプレイヤーたちが個性を際立たせるのに一役買っている。会場内のコスプレステージでは、プレイヤーたちに1分間程度のパフォーマンスタイムがある。各自が披露するダンスや小芝居で場内が大いに沸き上がるのも、個性的でエンターテインメント性に長けたフレンチ・オタクの一面だろう。

日本の若者のようにピースサインやブリッコのポーズで決めながら、その社交性やオリジナルな演出で一線を画すフランスのコスプレイヤーたちにとって、ジャパン・エキスポは最高の晴れ舞台。「フランス代表」を決めるコンクールが開催され、代表には名古屋で開かれる「世界コスプレサミット」への出場権が与えられるからだ。

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