北朝鮮、「極超音速ミサイルを発射」 標的に命中と主張

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1月6日、北朝鮮国営の朝鮮中央通信(KCNA)は同国が5日に「極超音速ミサイル」の発射実験に成功したと伝えた。非核化協議が停滞する中、北朝鮮が極超音速ミサイルを発射するのは2度目となる。写真は6日、KCNAが配信したもの(2022年 ロイター/KCNA)
1月6日、北朝鮮国営の朝鮮中央通信(KCNA)は同国が5日に「極超音速ミサイル」の発射実験に成功したと伝えた。非核化協議が停滞する中、北朝鮮が極超音速ミサイルを発射するのは2度目となる。写真は6日、KCNAが配信したもの(2022年 ロイター/KCNA)

[ソウル 6日 ロイター] - 北朝鮮国営の朝鮮中央通信(KCNA)は6日、同国が5日に「極超音速ミサイル」の発射実験に成功したと伝えた。非核化協議が停滞する中、北朝鮮が極超音速ミサイルを発射するのは2度目となる。

北朝鮮は5日、弾道ミサイルとみられる飛翔体を発射していた。弾道ミサイルなら昨年10月以来。米韓や日本で探知され、各国政府が非難している。

北朝鮮は昨年9月、極超音速ミサイルの発射実験を初めて行った。

極超音速ミサイルは、大気圏外に出て宇宙空間を飛行した後、再び大気圏に突入する弾道ミサイルとは異なり、低高度で標的に向けて音速の5倍以上の速度(時速約6200キロ)で飛行する。

KCNAは「極超音速ミサイルの発射実験に相次いで成功したことは、国家の戦略的武装力を近代化する作業を加速させるという点で戦略的意義がある」としている。

5日の実験では「極超音速滑空弾頭」がロケットブースターから外れ、120キロ水平に移動し、700キロ離れた標的に「正確に命中」したと指摘。「多段滑空躍進飛行と強力な側面機動」を組み合わせるミサイルの能力が示されたとした。

また、飛行制御や冬の運用能力なども確認されたとした。

北朝鮮は2017年以降、核爆弾や長距離大陸間弾道ミサイル(ICBM)の実験を行っていないが、近年は米韓が持つようなミサイル防衛を克服することを目的に、より操縦性の高いミサイルや弾頭を開発・発射しているとアナリストは指摘している。

米カーネギー国際平和基金の上級研究員、アンキット・パンダ氏は「北朝鮮は極超音速グライダー(滑空体)をミサイル防衛に対処するための有用な質的手段と認識しているようだ」と述べた。

アナリストによると、写真からは5日の実験に使用されたミサイルが、円錐形の機動式再突入体(MaRV)を搭載した液体燃料弾道ミサイルであることが確認できるという。

パンダ氏は、昨年の実験とは異なるバージョンで、10月に平壌で開催された国防発展展覧会で初めて公開されたものだと指摘。「少なくとも2つの開発プログラムを立ち上げているようだ。1つは9月に実験が行われた『火星8』だ。今回のミサイルは火星8といくつかの共通する特徴があるが、別のものだ」と語った。

ブリンケン米国務長官は6日、日本の林芳正外相との電話会談で、北朝鮮のミサイル発射を非難するとともに、朝鮮半島の完全な非核化と恒久的平和を達成するための協力について協議した。

国務省報道官は「われわれは、いかなる新たな能力も深刻に受け止める。かねてより言っているように、(北朝鮮の)度重なる弾道ミサイル試射は地域と国際社会を不安定化するもので、われわれは非難する」と述べた。

北朝鮮の非核化や弾道ミサイル放棄の実現に向けた協議は、金正恩朝鮮労働党総書記とトランプ前米大統領による一連の首脳会談が決裂して以降、頓挫している。

*内容を追加しました。

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