ECB理事会後のラガルド総裁発言要旨

欧州中央銀行(ECB)は10日に開いた定例理事会で、パンデミック緊急購入プログラム(PEPP)の規模を予想通りに現行水準に維持することを決定した。写真はラガルド総裁。2月8日撮影(2021年 ロイター/Olivier Matthys)
欧州中央銀行(ECB)は10日に開いた定例理事会で、パンデミック緊急購入プログラム(PEPP)の規模を予想通りに現行水準に維持することを決定した。写真はラガルド総裁。2月8日撮影(2021年 ロイター/Olivier Matthys)

[フランクフルト 10日 ロイター] - 欧州中央銀行(ECB)は10日に開いた定例理事会で、パンデミック緊急購入プログラム(PEPP)の規模を予想通りに現行水準に維持することを決定した。現時点で縮小すれば借り入れコストの上昇につながり、景気回復が頓挫する恐れがあると判断した。政策金利も現行水準に据え置いた。

理事会後のラガルド総裁の記者会見での発言は以下の通り。

<声明への支持>

声明の冒頭部分は全会一致の支持によるもの。

<異なる見解>

債券購入ペースやECBの政策手段利用の分析的な側面に関し議論があった。見解の相違が散見され、全会一致での合意ではなかったため、「おおむね合意」という文言を用いた。

<出口の討議せず>

政策の移行や出口に関しては一切討議されなかった。

<コアインフレ>

コアインフレの動向については、昨年12月以降、明らかに改善を確認している。コアインフレ見通しは緩やかなペースではあるものの修正された。

<ボトルネック>

ボトルネックの一部は徐々に解消されると想定。

<PEPPの出口巡る討議>

PEPPの出口については、いずれ討議されることになるが、現時点での討議は時期尚早だ。

<戦略的見直し>

戦略的な見直しは進められているが、残念ながら、新型コロナウイルスの影響で中断している。2021年下期に結果を発表できることを望む。

<PEPPによる債券購入>

四半期の純購入は引き続き、年初からの時期よりも著しく速いペースで実施されると予想する。今後3カ月は季節的要因を含めた市場の状況に応じ、PEPPの備える柔軟性を活かし、実施していく。

<インフレ率の改善>

インフレ率の改善が見られ、2021年の予測は1.9%と前回予想よりも明らかに上方に位置している。

<低調な賃金>

サービス価格の上昇はさほど見られない。これは賃金が大幅に上昇していないためだ。もう少し動きがあるかもしれず、一段の上昇を期待している。

<手堅い>

(政策アプローチについて)われわれが出した結論は「手堅い」と言えるだろう。

<引き締め状況>

(金融情勢の)引き締めは非常に緩やかと見ているが、市場金利で観察されたことが実際に企業部門の資金調達条件に影響を与えるリスクがある。

<インフレ率の差>

一部の国、例えばドイツのインフレ率はユーロ圏全体の予測を上回るだろう。

サービス価格の上昇はさほど見られない。

<より楽観的>

われわれは四半期ごとのスタッフ予測に多くの時間を費やし、一つ一つの項目を深く掘り下げてきた。経済見通しについては3カ月前に比べやや楽観的になったと言える。

最近のシグナルとしては、第2・四半期に力強い回復が見られ、それが第3・四半期に増幅されることを期待している。

<供給面でのボトルネック>

供給面でのボトルネックについても検討した。確かにやや逆風となるだろう。

<資金調達条件>

資金調達面では、企業部門と家計部門を合わせた資金調達環境はおおむね安定していると見ている。企業部門では明らかにオランダとドイツに起因する若干の増加が見られる。おそらく、それぞれの国の銀行による戦術的なアプローチによるものだろう。

このような特殊要因を除けば、全体的にはわずかな引き締めが見られるが、非常に緩やかだ。

<理事会での討議>

主要な点は全会一致での合意だった。3月に示した若干の下向きリスクから、より均衡の取れたリスクアセスメントに移行することの是非について討議し、全般的な合意が得られた。

<ユーロ圏と米国の経済>

米国とユーロ圏の経済情勢はかなり異なる。それぞれ回復局面の異なる時点にある。

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