山梨県、富士山オーバーツーリズム対策に本腰:7月から吉田ルートで通行料2000円徴収
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富士登山の歴史で初の試み
山梨県は、約900年前に富士山登拝が始まってから初となる入山規制に乗り出す。山開きを7月1日に控え、吉田ルート五合目にゲートを設置。通行は午前3時から午後4時までに制限、1日最大4000人までとする(山小屋宿泊者は除く)。
ゲート通過には2000円の通行料が必要となり、富士登山オフィシャルサイトで日付指定で事前決済できる。受付開始から1カ月弱で申し込みは2万人超。予約なしで現地で支払うこともできるが、SNS「X」の同アカウント上で随時更新する当日の通行人数を確認しておこう。
注意が必要なのは、往路は静岡県側から登った人も、吉田ルートで下山する場合は入山料がかかること。集めた通行料は通訳サポートや安全誘導に充てる。
6月19日にはゲート通過の予行演習を公開。日本語を話せない外国人の対応や、軽装登山者への指導といったシミュレーションを実施した。
首都圏からのアクセスがよく、整備された吉田ルートは山頂を目指す4ルートの中で最も人気が高く、富士登山者の6割が利用する。2023年には13万7236人とコロナ禍前に迫ってきた。しかし、登山道の大渋滞や、夜通し休憩を挟まずご来光を目指す「弾丸登山」が問題となっている。そこで県は24年3月、登山規制に向けた条例を制定した。
現地を訪れた長崎幸太郎知事は「国内外全ての登山者に豊かな時間を過ごしてもらうため」と規制に理解を求めた。県は訪日客に向けて、海外メディアや大使館、旅行サイトを通じて情報発信している。
富士山の「収容力に見合った来訪者の適正化」は、ICOMOS(国際記念物遺跡会議)から与えられた世界遺産登録の条件。本施策を「オーバーツーリズム対策の“解”。全国のモデルケースにしたい」(長崎知事)と、世界に向けた公約実現への第一歩を踏み出した。今シーズンは仮設ゲートで運用し、成果と課題を踏まえて来年度からの常設化を目指す。
取材・文・撮影=ニッポンドットコム編集部