2023年 スポーツニュースを振り返る

スポーツ

野球の世界大会WBCで日本代表が3大会ぶりに優勝。世界陸上女子やり投げで北口榛花が金メダル獲得。米大リーグ・大谷翔平がア・リーグで2度目のMVP(最優秀選手)受賞など、2023年の主なスポーツニュースを振り返る。

野球のWBCで侍ジャパンV

野球の国際大会、第5回「ワールド・ベースボール・クラシック」(WBC)は3月に日本、台湾、米国を会場に行われ、栗山英樹監督率いる日本が3大会ぶり3度目の優勝を果たした。米国との決勝戦では、3対2で接戦を制した。投打に活躍した大谷翔平(エンゼルス)が大会MVPに選ばれた。大会中、日系のラーズ・ヌートバー(カージナルス)が持ち込んだ「ペッパーミル・パフォーマンス」がチーム内に広まり、話題を集めた。

WBCで3回目の優勝トロフィーを手にし、栗山監督を中心に記念撮影に臨む日本代表の選手ら=2023年3月21日、米フロリダ・ローンデポパーク(時事)
WBCで3回目の優勝トロフィーを手にし、栗山監督を中心に記念撮影に臨む日本代表の選手ら=2023年3月21日、米フロリダ・ローンデポパーク(時事)

サッカー:Jリーグ発足30年

サッカーJリーグは5月15日、発足30年を迎えた。1993年に10クラブでスタートしたリーグは、今やJ1からJ3の60クラブに増え、この間日本代表のレベルも格段に上がった。アジアのクラブ王者を決めるAFCチャンピオンズリーグ2022は5月6日に決勝が行われ、浦和レッズがアル・ヒラル(サウジアラビア)を破って3回目の優勝を果たした。

J1のリーグ戦は、ヴィッセル神戸がクラブ創設29年目で初優勝。MVPには、得点王に輝いた大迫勇也(神戸)が初めて選ばれた。Jリーグカップはアビスパ福岡が優勝し、クラブ史上初のタイトル獲得。天皇杯は12月9日に決勝があり、川崎フロンターレが壮絶なPK戦の末に柏レイソルを破り、3大会ぶり2回目の優勝を果たした。

女子サッカーW杯の第9回大会が7月から8月にかけてオーストラリア、ニュージーランドで開催され、日本代表はグループC1位で決勝トーナメントに進出。ノルウェーに勝利したものの準々決勝でスウェーデンに敗れ、ベスト8で大会を終えた。

やり投げの北口が世界陸上「金」

8月にハンガリー・ブダペストであった世界陸上競技選手権大会で、女子やり投げの北口榛花(JAL)が優勝した。決勝の最終投てきで66メートル73の大投てきを見せ、日本の陸上女子フィールド種目で五輪・世界選手権を通して史上初となる金メダル獲得となった。北口は昨年のオレゴン大会では3位で、2大会連続のメダル獲得。7月には今季世界最高の67メートル04(日本新)を投げ、世界ランキング1位となっていた。

世界陸上の女子やり投げ決勝、北口榛花の3回目の投てき=2023年8月25日、ハンガリー・ブダペスト(時事)
世界陸上の女子やり投げ決勝、北口榛花の3回目の投てき=2023年8月25日、ハンガリー・ブダペスト(時事)

大谷、ホームラン王と2度目のMVPに

大リーグ、エンゼルスの大谷翔平は今季、8月9日のジャイアンツ戦で10勝目を挙げ、2年連続で「2桁勝利、2桁本塁打」を達成した。2年連続での達成は大リーグ史上初の快挙。本塁打は最終的に44本を打ち、大リーグで日本人初めての本塁打王(ア・リーグ)を獲得した。また、ア・リーグで2度目のMVP(最優秀選手)を満票で受賞。12月には10年7億ドル(約1015億円)の史上最高額で、ナ・リーグのドジャースへの移籍が決まった。

大谷は8月下旬、試合中に右肘の違和感を訴え、靱帯(じんたい)損傷が判明。その後も打者として出場を続けたが、9月4日に右わき腹を痛めてからは欠場した。19日にはロサンゼルス市内の病院で、自身2度目となる右肘の手術を受けた。本人はSNSで「無事成功した」としている。

本拠地での対ジャイアンツ戦で力投し、2年連続の2桁勝利を挙げた大谷翔平=8月9日(AFP=時事)
本拠地での対ジャイアンツ戦で力投し、2年連続の2桁勝利を挙げた大谷翔平=8月9日(AFP=時事)

虎党歓喜!阪神が38年ぶりの日本一

日本のプロ野球は今季、セ・リーグは阪神タイガースが18年ぶりに優勝。パ・リーグはオリックス・バファローズが3連覇を果たした。日本シリーズは阪神が4勝3敗で制し、38年ぶりの日本一に輝いた。シーズンMVPは、セが村上頌樹投手(阪神、新人王と同時受賞)、パは山本由伸投手(オリックス)が選ばれた。

プロ7年目、25歳の山本は今季、防御率1.21(キャリアハイ)で16勝6敗。9月9日のロッテ戦で、戦後初の2年連続ノーヒットノーランを達成した。MVPと沢村賞も3年連続で受賞。シーズン終了後にはポスティングシステムを使っての大リーグ・ドジャースへの移籍が決まった。

18年ぶりのリーグ優勝を決め、胴上げされる阪神の岡田彰布監督=9月14日、甲子園(時事)
18年ぶりのリーグ優勝を決め、胴上げされる阪神の岡田彰布監督=9月14日、甲子園(時事)

ラグビーW杯:日本は決勝T進出ならず

9月から10月にかけてフランスで開催されたラグビーのワールドカップ(W杯)。日本はプールDを2勝2敗で追え、決勝トーナメント進出はならなかった。第1戦のチリに42-12で勝利し、次戦のイングランドに12-34で敗北。サモアには28-22で競り勝ったが、最終戦のアルゼンチンに27-39で敗れた。

アルゼンチンに敗れ、ファンにあいさつして回るリーチマイケル(右から3人目)ら日本代表=10月8日、フランス・ナント(時事)
アルゼンチンに敗れ、ファンにあいさつして回るリーチマイケル(右から3人目)ら日本代表=10月8日、フランス・ナント(時事)

世界体操で橋本が個人総合2連覇

ベルギーで10月に行われた世界体操選手権で、男子の橋本大輝(順天堂大)が個人総合2連覇を達成。種目別の鉄棒でも、初の金メダルを獲得した。男子団体では日本が中国、米国を抑えて、8年ぶりに優勝した。

ボクシング: 井上尚弥が4階級制覇

プロボクシングの井上尚弥(30)=大橋ジム=は1月、保持していた世界4団体のバンタム級王座を返上し、スーパーバンタム級への転向を発表。7月25日に有明アリーナで同級のWBC・WBO世界統一王者スティーブン・フルトンに挑戦し、8回TKO勝ちをおさめた。これでライトフライ級、スーパーフライ級、バンタム級と合わせて世界で4階級を制覇した。また、12月26日にはスーパーバンタム級のWBA、IBF王者のマーロン・タパレス=フィリピン=に10回KO勝ちし、史上2人目となる2階級での4団体統一王者となった。

WBC、WBOスーパーバンタム級タイトルマッチで新王者となり、祝福される井上尚弥(右)=7月25日、東京・有明アリーナ(時事)
WBC、WBOスーパーバンタム級タイトルマッチで新王者となり、祝福される井上尚弥(右)=7月25日、東京・有明アリーナ(時事)

車いすテニス:小田がウインブルドン初V

車いすテニスの小田凱人(17)=東海理化=は、6月の全仏オープン男子シングルスで初優勝、史上最年少で世界ランキング1位となった。7月のウインブルドン選手権(全英)でも優勝し、2大会連続で四大大会を制覇した。

同競技の東京パラリンピック金メダリスト、国枝慎吾は1月、世界ランキング1位のまま引退を発表。3月に国民栄誉賞を受賞した。

大相撲:11月場所は大関・霧島が優勝

大相撲は一人横綱の照ノ富士(伊勢ヶ浜部屋)が膝の悪化で昨年11月場所から3場所連続の全休。復帰した5月場所では、14勝1敗で8回目となる幕内優勝を果たした。しかし、7月場所で2日目、3日目と連敗して4日目以降休場。9月場所、11月場所のいずれも全休となった。

3月場所で初優勝を果たした霧馬山(陸奥部屋)は5月場所を11勝して終え、大関に昇進。しこ名も師匠のものを受け継いで「霧島」と改名した。しかし、7月場所はけがで初日から3日目まで休場する異例の事態に。11月場所は13勝2敗で、2度目の優勝を果たした。

3月場所で一時優勝争いを演じた豊昇龍(立浪部屋)は7月場所に初優勝し、大関に昇進。しかし、9月場所は8勝7敗、11月場所も10勝5敗に終わった。

中国・杭州でアジア大会

第19回のアジア競技大会が9月から10月にかけ、中国・杭州で開かれた。日本は金メダル52、銀メダル67、銅メダル69の、合わせて188のメダルを獲得。前回2018年のジャカルタ大会より金メダルは23減少し、特に競泳陣が苦戦するなど課題を残した。次回の26年大会は愛知県・名古屋市で開催される。

違法薬物事件で日大アメフトに激震

日本大学アメリカンフットボール部の学生寮(東京都世田谷区)で8月、大麻の植物片と覚醒剤の成分を含む錠剤が見つかり、11月末までに部員3人が覚せい剤取締法違反、麻薬特例法違反などで逮捕、部員1人が書類送検された。起訴された部員の12月の初公判で、部員は起訴内容を認め、大麻を使用していたのは部内で「10人程度だった」と述べた。日大は12月15日、臨時の理事会を開き同部の廃部を決めた。

バナー写真:レンジャーズ戦の1回に42号ソロ本塁打を放ち、ベンチでチームメートに迎えられるエンゼルスの大谷翔平=2023年8月16日、米アーリントン(時事)

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