羽田に八重洲に歌舞伎町に―インバウンド再拡大を見据え、東京に新観光拠点が続々開業
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東急歌舞伎町タワー:“東洋一”の歓楽街をエンタメ観光都市に
乗降客数世界一(ギネス世界記録)の新宿駅の北東側にあり、靖国通り、明治通り、職安通りに囲まれたエリア・歌舞伎町。
「東洋一の歓楽街」として外国人観光客にも知られる“眠らない街”を、「世界のエンターテインメントシティ」にしようというプロジェクトが進行中だ。その中核となるのが4月14日に開業したばかりの「東急歌舞伎町タワー」。
2014年12月に閉館した映画館「新宿ミラノ座」の跡地に、東急グループが高さ225メートル、地上48階・地下5階建ての超高層ビルを建設。オフィスフロアはなく、高層階の2つのホテル(計635室)と映画館、劇場、ライブホールからなるエンターテインメント施設に特化している。
9・10階の映画館「109シネマズプレミアム新宿」は、3月28日に亡くなった坂本龍一氏が音響を監修。8スクリーン700席超の座席は全てプレミアムシートで、正面だけでなく左右にも映像を投影できるスクリーンやフィルム上映が可能な35ミリ映写機も導入されている。
施設コンセプトは「好きを極める」。その施策第1弾として、世界中に熱烈なファンを持つ『エヴァンゲリオン』関連の映画祭、公演などが4月28日から順次スタートする。
外国人観光客にとって東京の夜景といえば、繁華街のネオンのイメージが強いかもしれない。東急歌舞伎町タワーの2階では、そうした雰囲気も気軽に味わえる。
その名も「新宿カブキhall~歌舞伎町横丁」。約1000平方メートルのフロアは、「日本の祭りと路地裏」がコンセプト。ねぶた、博多祇園山笠、金魚提灯が彩り、道頓堀商店街や射的場など昭和のニッポンが再現され、全国各地のB級グルメ、丼や麺、焼き鳥、餃子、お酒などの「ソウルフード」が楽しめる。
営業時間は朝6時~翌朝5時。高層複合ビルのテナントとしては珍しく、“不夜城”歌舞伎町らしい試みだ。
羽田エアポートガーデン:空港直結、国内最大級の空港ホテルに温泉も
2010年10月、4本目の滑走路が整備されて増便が可能となり、32年ぶりに国際定期便を復活させた羽田空港。「都心から近い」「24時間オープン」といった強みを生かし、世界のハブ空港にふさわしい機能性とホスピタリティを提供すべく、国際線専用の第3ターミナルに直結して1月31日、全面開業したのが「羽田エアポートガーデン」だ。
住友不動産が運営する地上12階建ての複合商業施設。施設の核となるのが、2~12階に入るエアポートホテル「ヴィラフォンテーヌ 羽田空港」だ。客室数1717室と空港周辺のホテルとしては日本最大規模。12階には、富士山や旅客機を望む展望天然温泉や、炭酸泉、ジェットバスなど4種類の内湯、3種類の岩盤浴などを備えた温浴施設(24時間営業)があり、ホテル宿泊者以外も利用できる。
73店舗が軒を連ねるショッピングゾーン(1・2階)は、日本の文化・技術を感じられる名産品を取り扱う「ジャパンプロムナード」、各地の土産など逸品を集めた専門店が並ぶ「羽田参道」、旅を快適にするアイテムがそろった「ハネダコレクション」で構成。230席のフードコートやバラエティに富んだ飲食店が集まるレストランゾーンに加え、東北・甲信越・関東・北陸・東海・近畿エリアの各都市や観光地を結ぶ全天候型バスターミナルも入る。
東京ミッドタウン八重洲:「通過点」から「目的地」を目指す“陸の玄関口”
羽田空港が東京の「空の玄関口」であるならば、「陸の玄関口」はJR東京駅。そのJR東京駅に直結する形で3月10日、高さ240メートル、地上45階・地下4階ての「東京ミッドタウン八重洲」がグランドオープンした。国内不動産業最大手の三井不動産が、六本木、日比谷に続いて手掛ける「東京ミッドタウン」ブランドだ。
その最高層フロアに4月4日、イタリアの高級宝飾店「Bulgari(ブルガリ)」がプロデュースする「ブリガリ ホテル 東京」が開業して話題を呼んでいるが、東京ミッドタウン八重洲全体の施設コンセプトは、「ジャパン・プレゼンテーション・フィールド~日本の夢が集う街。世界の夢に育つ街~」。
57店舗が入る地下1階~3階の商業ゾーンは、「ニッポンのいいもの大集合」を謳(うた)い文句に、次代を担うジャパンブランドが集まった。
例えば、元禄元年(1688年)創業、京都の西陣織「細尾」のショールーム「HOSOO TOKYO」では、1200年もの歴史を持つ京都の伝統技術を用いた200種類超のテキスタイルコレクションをはじめ、小物やホームコレクション、家具やアートピースがそろう。また、全国初出店となる「津軽びいどろ」には、1300℃の窯で溶かした色ガラスで造形されたカラフルなグラス、盃、箸置きなど青森県の伝統工芸品が並ぶ。
2階には「ヤエスパブリック(ヤエパブ)」と命名した、休憩スペースも兼ねた公共空間が広がる。フードコートや路地裏感あふれる立ち飲みカウンターなどもあり、購入したメニューはヤエパブ内のどこでも飲食が可能だ。
一方、7~38階はオフィスフロアとなっており、オフィスビルとしては日本初となるデリバリーロボットを導入。スマートフォンでロボットを予約し、品物を注文すると、品物を格納したロボットが自立でエレベーターに乗り、オフィスワーカーに荷物を届ける仕組みだ。
地下2階には「バスターミナル東京八重洲」の第1期エリアがオープン。2028年までに順次、東京駅周辺に分散している高速バス乗り場が統合され、日本最大級のバスターミナルが完成する。
これまでの、移動する人が素通りする街、「通過点」ではなく、「目的地」へ──新たに生まれ変わろうとしている八重洲エリアの核となるのが東京ミッドタウン八重洲だ。
バナー写真:「水」をモチーフに噴水が湧き上がるような斬新な外観デザインが目を引く「東急歌舞伎町タワー」 東急提供