女性の社会進出の加速が必要─ヒラリー・クリントン氏 : 出産・育児退職は国家の損失
Newsfrom Japan
ジェンダー・性 社会 政治・外交 経済・ビジネス
ヒラリー・クリントン元米国務長官が都内で講演、コロナ禍で弱い立場に追いやられた女性を政治がサポートするよう求めた。また、日本については、「女性が結婚・出産を機に仕事を辞めるのは国家の損失」と指摘、育児しやすい環境の必要性を強調した。
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ヒラリー・クリントン元米国務長官は10月20日、都内で講演し、女性の社会進出を加速するべきだと訴えた。日本については、男女とも高い教育水準を維持しているにもかかわらず、「女性が結婚・出産を機に仕事を辞めるようなことがあっては、個人のみならず国家の損失だ」と述べ、育児をしやすい環境の必要性を強調した。
講演は、クリントン氏の来日に合わせ笹川平和財団が依頼して実現、中満泉国連次長の質問に答える形で行われた。
この中でクリントン氏は、新型コロナウイルスの感染拡大で女性の失業者が増えるなど、男女同権の実現が遠ざかったことに懸念を表明。エッセンシャルワーカーをはじめとする社会的に弱い立場に置かれている女性を、政治が従来にも増してサポートするよう求めた。
また、男女が異なる視点を持っている例として「私はニューヨークで、(ウクライナの)ゼレンスキー大統領のオレナ夫人と会った。男性は武器の供与を求めるが、彼女は新生児用の集中治療室(ICU)や妊婦のための医療環境を支援してほしいと言った」とのエピソードを挙げた。
クリントン氏はIT技術が女性蔑視を助長している現実にも言及、「アルゴリズムが(男性優位主義の)バイアスを組み込んでいる」と警鐘を鳴らした。さらに中国を「かつてない監視国家」とする一方、「米国が特にそうだが、民主主義国家は技術に対するコントロールを失った」と指摘、「(両極端の)中間地点を見出すよう努めるべきだ」と述べた。
バナー写真 : 中満泉氏(左)の質問に答えるヒラリー・クリントン氏