ウクライナ避難民支援で10億円の基金を設置―日本財団:日本語習得や地域との交流をサポート

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ウクライナから日本への避難民を支援するため、日本財団は10億円規模の基金を設置。日本語学習への奨学金といった生活面での支援に加え、居住地域の人々との交流イベントなど日本を知り、地域と親しむ機会も提供する。

日本財団は13日、ウクライナから日本への避難民の生活を支援するために基金を設置すると発表した。広く寄付を募る形で10億円を目標とする。基金運営に関する経費は日本財団が負担し、寄付金は全て避難民支援に充てる。

具体的な使途としては、日本語学習への奨学金制度や交通系ICカードなど生活に必要な物資の配布。また、全国各地で開催される祭りや花火大会、スポーツイベントを通じて地域住民との交流する機会を提供したり、全国に散在する避難民同士が集まり、親交を持てるイベントを開催したりする予定だ。会見した笹川順平常務理事は、「日本で根を張って生活する中で、楽しい経験もしてもらいたい。日本中の皆さんが基金を通じて、ウクライナから避難してきた人たちにウェルカムの気持ちを示してもらえれば」と寄付を呼び掛ける。

セルギー・コルスンスキー駐日ウクライナ大使は、「日本を大事な友人と思う国への投資と思ってほしい。ウクライナは農業大国であり、IT大国でもある。今、日本に避難している人たちは、将来の日本とウクライナの懸け橋となる」として、基金への幅広い協力を求めた。

本基金はラーム・エマニュエル駐日米大使(左)、セルギー・コルスンスキー駐日ウクライナ大使と協力して基金を運営していく。中央は笹川順平日本財団常務理事
本基金はラーム・エマニュエル駐日米大使(左)とコルスンスキー大使(右)と連携して運営していく。中央は笹川理事

会見には、ハリコフから避難してきた家族3人が同席。22歳のイェレネツ・マークさん は、留学先のノルウェーから一度ウクライナに戻り、民兵に志願しようとしたが、条件を満たせずに断念。今は日本語を学びながら、歴史や文化に触れることも楽しんでおり、「将来は日本の大学院に入り、自分の専攻を生かせるなら就職も考えたい」と抱負を語る。

ポーランドの大学でデザインの勉強をする18歳のイェレネツ-メモル・リッマさんは、日本に避難してからもリモートで講義を受けている。兄と同様に「語学が習得できたら、日本の大学に編入したい」と希望を述べた。

ノルウェーの大学で国際法を学んでいるマークさん。本来はこの6月で卒業予定だったという
ノルウェーの大学で国際法を学んでいたマークさん。本来はこの6月で卒業予定だったという

日本財団の「ウクライナ支援基金」のサイトから、オンライン決済などで1000円単位で基金に協力できる。受付は6月13日から9月末まで。問い合わせは、日本財団寄付総合窓口へ。電話0120-533-236(平日午前9時~午後5時)、メールはkifu@ps.nippon-foundation.or.jp

バナー:前列左が母のビラ・オクサナさん、右がイェレネツ-メモル・リッマさん(写真・ニッポンドットコム編集部)

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