ニュースで振り返る2020年の日本
Newsfrom Japan
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新型コロナウイルス関連
1月に国内初の感染者を確認
厚生労働省は1月16日、中国湖北省武漢市から帰国した男性から新型コロナウイルスの陽性反応が出たと発表。2月には神奈川県の感染者女性が死亡し、国内初の死亡例が確認された。政府は1月から2月にかけ、武漢市に在住する日本人の退避に向け、チャーター機5便を派遣した。
横浜港沖に2月3日に到着した大型クルーズ船ダイヤモンド・プリンセス号では乗客らの集団感染が確認され、政府は同船を着岸させないまま対応にあたった。感染者は700人を超え、うち13人が亡くなった。3月1日までに乗客乗員3711人の下船が完了した。
小中高校が休校、緊急事態宣言の発令
安倍晋三首相は2月27日、私立を含め全国全ての小中学校、高校、特別支援学校に、3月2日からの臨時休校を呼びかけ。東京都の場合、休校期間は5月末までの約3カ月に及んだ。感染拡大を受けて、政府は4月7日、東京、埼玉、千葉、神奈川、大阪、兵庫、福岡の7都府県に緊急事態宣言を発令。5月4日には全国に対象を拡大した。
東京五輪、2021年に延期
新型コロナウイルスの世界的な感染拡大を受け3月24日、東京五輪・パラリンピックが2021年に延期されることが決まった。近代五輪、パラリンピックの延期はいずれも史上初。
一律10万円の現金給付
国民1人当たり一律10万円の現金給付を柱とした支援策を盛り込んだ2020年度補正予算が4月30日、参院本会議で与党と主要野党の賛成多数で可決、成立した。給付にあたっては、ネット申請による事務手続きの混乱が全国の各自治体で発生した。
「Go To トラベル」年末年始は中止に
政府の観光支援策「Go Toトラベル」が7月22日に開始。直前になって感染者が相次ぐ東京都を発着する旅行を適用除外としたり、キャンセル料の対応を急きょ変更するなど方針が二転三転した。10月1日からは東京発着の旅行が対象になったが、その後に全国で感染が再び拡大したことから、菅義偉首相は12月14日、「Go Toトラベル」を28日から2021年1月11日まで、全国一斉に一時停止すると表明した。
日本の死者3000人に
年末までに国内感染者数は累計20万人を突破し、死者数は3000人を超えた。コメディアンの志村けんさん、タレントの岡江久美子さん、デザイナーの高田賢三さんら著名人も命を落とした。
政治
安倍首相が辞任、菅政権が誕生
安倍晋三首相は8月28日、持病の潰瘍性大腸炎再発を理由に辞任の意向を表明。安倍内閣は9月16日に総辞職した。同14日の自民党総裁選で菅義偉官房長官(71)が総裁に選出され、16日の臨時国会で第99代首相に指名された。
「大阪都構想」2度目の否決
大阪市を廃止して四つの特別区に再編する「大阪都構想」の是非を問う住民投票が11月1日に投開票され、僅差で否決された。否決は2015年に続き2度目。日本維新の会の松井一郎代表(大阪市長)は、23年4月の市長の任期満了をもって政界を引退すると表明した。
「桜を見る会」安倍氏は不起訴
安倍前首相の後援会が「桜を見る会」前夜に開催した夕食会の費用補填(ほてん)をめぐり、東京地検特捜部は11月に公設秘書、12月21日には安倍氏本人を、政治資金規正法違反の疑いで、それぞれ任意で事情聴取。特捜部は同24日に安倍氏を不起訴とし、公設第1秘書を略式起訴した。安倍氏は補填分などの政治資金収支報告書不記載について「道義的責任を痛感している。深く反省し、心からおわびする」と謝罪した。
「森友学園」補助金詐取で元理事長に実刑
学校法人森友学園をめぐり国や大阪府、大阪市の補助金計約1億7000万円をだまし取ったとして、詐欺罪などに問われた前理事長籠池泰典(67)、妻諄子(63)両被告の判決が2月19日、大阪地裁であり、籠池被告に懲役5年(求刑懲役7年)、諄子被告に懲役3年、執行猶予5年(求刑同)が言い渡された。
河井前法相夫妻を公選法違反(買収)容疑で逮捕
昨夏の参院選で地元県議らに現金を渡し、票の取りまとめを依頼したなどとして、東京地検特捜部は6月18日、公選法違反(買収)容疑で、河井克行前法相(57)と妻の案里参院議員(46)を逮捕した。8月に始まった公判で、二人は無罪を主張。週3、4回ペースで公判日程が決まったものの、一時中断して判決は年明けにずれ込んだ。
コロナで膨張、2020年度補正予算
政府は12月15日、一般会計の追加歳出が21兆8353億円となる第3次補正予算案を閣議決定した。新型コロナウイルス感染症の拡大防止策や収束後を見据えた経済構造の転換などに支出する。20年度歳出総額は当初予算の約1.7倍の175兆6878億円。
外交
米国
菅首相は10月6日、ポンペオ米国務長官と首相官邸で会談した。首相の外国要人との対面外交は初めて。両氏は「自由で開かれたインド太平洋」構想を推進するため、日米同盟を一層強化し、オーストラリアやインドなどと緊密に連携することを確認した。11月12日にはバイデン次期大統領と初の電話会談を行い、新政権下でも日米同盟強化に取り組む方針を確認した。
東南アジア
菅首相は10月、初の外遊としてベトナム、インドネシア両国を訪問。ハノイではグエン・スアン・フック首相と会談し、日本からの防衛装備品移転を可能とする協定締結で実質的に合意した。両国の防衛協力により、南シナ海で強硬姿勢を強める中国をけん制する狙いがある。ジャカルタではジョコ大統領と会談し、新型コロナウイルス感染拡大による経済への影響を踏まえ、500億円の円借款を供与する方針を表明した。
RCEP交渉署名、世界最大の自由貿易圏に
日本と中国、韓国、東南アジア諸国連合(ASEAN)加盟国など15カ国は11月15日、東アジア地域包括的経済連携(RCEP)交渉に合意、署名した。これにより世界経済・貿易の3割を占める最大規模の自由貿易圏が誕生。工業製品を中心に全体の関税撤廃率は91%に上り、日本はRCEPでアジアの広い地域に自由貿易を拡大し、経済成長の足掛かりとする。
経済
GDP成長率、リーマン・ショックを超える落ち込みに
内閣府は7月30日、2020年度の国内総生産(GDP)成長率について、物価変動の影響を除いた実質で前年度比マイナス4.5%になるとの試算を経済財政諮問会議に提出した。新型コロナウイルス感染拡大による経済活動の停滞を受け、今年1月の政府経済見通しで示したプラス1.4%から大幅に下方修正。リーマン・ショックのあった08年度(マイナス3.4%)を超える落ち込みとなった。コロナの影響で人出が鈍り、飲食業などで業績が悪化。非正規労働者を中心に失業者が増えている。老舗アパレル企業のレナウンは経営破綻した。
相次ぐ電子決済サービスを使った預金の不正引き出し
銀行の預金口座で、NTTドコモの電子マネー決済サービス「ドコモ口座」を利用した不正な預金引き出し被害が相次ぎ、NTTドコモは9月14日、被害が120件、総額2542万円に拡大したと発表した。被害はゆうちょ銀行でも確認され、9月17日までに、提携するスマートフォン決済サービスを通じた不正出金が136件、計2150万円に拡大したと発表した。
東証、システム障害で売買を終日停止
東京証券取引所は10月1日、システム障害発生で全銘柄の売買を終日停止した。売買が終日止まるのは、全面システム化された1999年5月以降初めて。同じシステムを使っている札幌、名古屋、福岡の各証券取引所でも全ての株式取引が停止した。東証での全銘柄の売買停止は約14年9カ月ぶり。東証は故障部位を交換し、2日には通常通り取引を再開した。
日経平均29年ぶり高値
新型コロナウイルスのワクチン開発が進み、経済活動の正常化が早まるとの期待から、11月17日の日経平均株価は、前日比107円69銭高の2万6014円62銭と続伸して取引を終えた。終値で2万6000円台を回復するのは、1991年5月以来約29年半ぶり。前日に続きバブル崩壊後の最高値を更新した。
社会
秋篠宮さま「立皇嗣の礼」
秋篠宮さまが皇位継承順位1位の皇嗣になられたことを国内外に示す「立皇嗣の礼」が11月8日、皇居で行われた。当初4月19日に行われる予定だったが、新型コロナウイルスの影響で延期となっていた。上皇さまの退位、天皇陛下の即位に伴う国の儀式はこれで全て終わった。
豪雨・台風で九州に甚大な被害
梅雨前線の影響により、九州で7月4日、猛烈な雨が降った。熊本県では球磨川が氾濫し、土砂災害や浸水が発生。熊本、福岡、大分、長崎の各県で死者が確認され、九州全体の犠牲者は70人を超えた。9月6日には大型の台風10号が九州の西岸沖を北上。九州7県と山口県が暴風や高波、大雨による土砂災害や浸水、河川の増水に見舞われた。鹿児島、宮崎、佐賀各県でそれぞれ1人が死亡。宮崎県椎葉村で土砂崩れが発生し、3人が行方不明となった。
映画「鬼滅の刃」の累計興行収入、300億円超え
東宝とアニプレックスは12月14日、配給するアニメ映画「劇場版『鬼滅の刃(やいば)』無限列車編」の累計興行収入が302億8900万円に達したと発表した。日本で上演された映画作品の中で300億円を超えたのは、2001年に公開された宮崎駿監督アニメ「千と千尋の神隠し」以来。
科学・技術
スパコン「富岳」、世界計算速度ランキングで1位
理化学研究所は6月23日、富士通などと開発中のスーパーコンピューター「富岳」が、スパコンの計算速度を競う「TOP500」など四つの世界ランキングで、2位に大差をつけて1位になった発表した。TOP500で日本のスパコンが世界1位になるのは、2011年6、11月に記録した理研の「京」以来。
「はやぶさ2」カプセル内に黒い砂確認
宇宙航空研究開発機構(JAXA)は12月14日、探査機「はやぶさ2」から分離、オーストラリア南部の砂漠地帯で6日に回収されたカプセル内で、黒い砂粒を多数見つけたと発表した。カプセルの密封性能が確認されていることなどから、小惑星「りゅうぐう」で採取されたものと判断した。有機物や水を含むとされるC型小惑星からの回収は世界初の快挙。
文化
地質時代名に「チバニアン」、国際学会が決定
国際地質科学連合(IUGS)は1月17日、千葉県市原市の養老川沿いにある地層「千葉セクション」を、約77万年前の地質時代の境界を研究する上で最も優れた地点「国際標準模式地」に認定した。これにより、約77万4000年前から約12万9000年前の地質時代が「チバニアン(千葉時代)」と正式に命名された。地質時代名に日本の地名が使われるのは初めて。
「京都新城」石垣と堀見つかる
京都市埋蔵文化財研究所は5月12日、京都市上京区の京都仙洞御所内で、豊臣秀吉が最晩年に築いたとされる「京都新城」の本丸を囲う石垣と堀が見つかったと発表した。
スポーツ
新型コロナに揺れたプロスポーツ
プロ野球は6月19日に開幕。当初は無観客で、7月10日から上限を決めた観客を入れてシーズン120試合を終えた。2月に開幕したサッカー・Jリーグは、第1節を消化した直後から約4カ月の中断を余儀なくされた。大相撲は3月の春場所を無観客で開催。5月の夏場所は中止となった。
春夏の甲子園は中止、代わる交流試合を開催
日本高校野球連盟は、新型コロナウイルス感染拡大の影響を考慮し、阪神甲子園球場で開幕予定だった第92回選抜大会と第102回全国高校野球選手権大会の中止を決めた。選抜大会の中止は史上初めて。同連盟は8月、選抜出場予定だった32校を甲子園に招いて「交流試合」を実施。各チームが1試合づつプレーした。
大坂、2度目の全米優勝
テニスの全米オープン女子シングルスで9月12日、大坂なおみ(日清食品)が、優勝した。2年ぶり2度目。大坂は米黒人男性が銃撃された事件に抗議し、全米の前哨戦となるウエスタン・アンド・サザン・オープン準決勝を一度は棄権すると表明。全米では1回戦から決勝まで計7人の黒人被害者の名前が入った黒いマスクを着けて入場した。
三冠馬アーモンドアイ、歴史的V
中央競馬史上初めて三冠馬3頭が激突した第40回ジャパンカップ(GI)が11月29日、東京競馬場で行われた。15頭が出走し、2018年牝馬三冠のアーモンドアイが優勝。芝のGI最多記録を更新する9勝目を挙げ、有終の美を飾った。今年のクラシック三冠馬コントレイルが2着、3歳牝馬三冠のデアリングタクトが3着に入り、三冠馬3頭が上位を独占した。
バナー写真:新型コロナウイルスの感染対策として、野球場の入場口に設置されたカメラで体温チェックをする警備員=2020年7月10日、甲子園(時事)