【動画】しまなみ海道:瀬戸内の島々の魅力をつなぐ道

旅と暮らし

気軽に堪能できる「サイクリストの聖地」

広島県尾道市と愛媛県今治市の約60キロメートルを結ぶ「瀬戸内しまなみ海道」。しまなみ海道は公募で決まった愛称で、正式名称は「西瀬戸自動車道(にしせとじどうしゃどう)」。3ルートある本州四国連絡橋の中では一番西側に位置する。

新尾道大橋以外の橋には、「原動機付自転車道及び自転車・歩行者専用」の道路が整備されている。日本初の海峡を横断できる自転車道で、島々の美しい景色の中を走れると人気が高く、今では「サイクリストの聖地」とも呼ばれる。

公営の「しまなみレンタサイクル」を使用すれば、道中の島々を含めて13カ所あるターミナルで貸し出し・返却が可能。片道だけや途中の島までレンタルして、残りはバスやフェリーを利用するといった旅程が組めるので、自転車旅行の初心者でも気軽に挑戦できる。今回は尾道から出発するルートで、しまなみ海道の橋や島々を紹介したい。

地元中学生の通学にも使われる尾道と向島をつなぐ渡船。サイクリストも利用する 

瀬戸内の多島美と巨大な橋が織りなす絶景

新尾道大橋

千光寺公園から見下ろした新尾道大橋尾道側から数えて一つ目の「向島」は、尾道水道で隔てられた文字通り向かい側にある島だ。サイクリストの場合は新尾道大橋が使えないので、この島への移動は渡船を使うことになる。渡船は約10分の間隔で運行しており、所要時間は5分程度。運賃も大人100円、自転車や原付きはそれにプラス10円とリーズナブルだ。

昭和レトロな街並みが残る向島では、町散策が楽しい。向島大橋を渡った先にある岩子島(いわしじま)に立ち寄るのもおすすめ。厳島神社の朱塗りの鳥居は海の中にそびえ立っている。

因島大橋

向島から見た、因島と因島大橋。自動車道と自転車・歩行者道が2段階構造になっている

村上水軍の拠点として使われた因島は、今なお造船業が盛んな地。完成した船の進水式には、多くの見物客でにぎわう。

 773年に創建された大山神社は、因島村上水軍に崇敬された交通の守り神を祀(まつ)る。そのため、多くのサイクリストがお参りに立ち寄り、近年は「自転車神社」の愛称で親しまれている。自転車と一緒にご祈祷(きとう)が受けられ、休憩所も開放しているので、自転車の旅ならぜひ立ち寄りたいスポットだ。

 生口橋

右奥に架かるのが因島と生口島を結ぶ生口橋

生口島(いくちじま)は国産レモン発祥の地として知られ、瀬戸田町は国産レモン生産量日本一を誇る。洲江港からフェリーで5分の「岩城島(いわぎじま)」にある「積善山三千本桜」は、愛媛県随一のお花見スポット。

多々羅大橋

広島県生口島と愛媛県大三島を結ぶ多々羅大橋

多々羅大橋を渡ると、しまなみ海道は愛媛県に入る。大三島には三島神社の総本社「大山祇神社(おおやまづみじんじゃ)」があるため、「神の島」という呼び名も持つ。古くはこの神社を「大三島」と呼んでいたので、それが島の名前となった。旧暦5月5日に開催される御田植祭と旧暦9月9日の抜穂祭(ぬいぼさい)で、「一人角力(ひとりずもう)」が奉納されることでも有名だ。

「一力山」が目に見えない「稲の精霊」と相撲をとる一人角力

大三島橋

伯方島の開山公園に咲いた桜越しに望む大三島

アーチ橋の大三島橋を渡ると、「伯方の塩」で知られる伯方島(はかたじま)に入る。古くから製塩業が盛んな島だったが、1971年に成立した「塩業近代化臨時措置法」によって塩田は全廃となった。かつての塩田製塩を応用して「伯方の塩」を生産しているのが伯方塩業株式会社で、大三島の工場は見学が可能。

 伯方島は海辺の風景が美しく、大潮の干潮時だけに歩いて島へ渡れる道が出現する「大角豆島」や、砂浜が1キロメートル続く「沖浦ビーチ」などが人気のスポットだ。

伯方・大島大橋

伯方島から見た、伯方・大島大橋。中央にある見近島を中継点に、桁橋とつり橋が合体している

高級石材「大島石」の産地として有名な大島。亀老山展望公園から眺める、来島海峡に沈む夕日はまさに絶景。しまなみ海道で一番長い4キロメートルの来島海峡大橋を渡れば、終着点の四国本土の今治に到着する。

来島海峡大橋

世界で初めて造られた3連のつり橋。潮の流れが速く、日本屈指の海の難所として知られた来島海峡に架かるそれぞれに異なる魅力を持つ島々をつなぐ「しまなみ海道」。各島独特の美しい風景や文化があふれており、いくつもの国を旅したかのような満足感を得られることだろう。

レンタサイクル「しまなみジャパン」

●公式ホームページ:http://shimanami-cycle.or.jp/rental/ ※英語対応
●営業時間:ターミナルによって違うのでホームページで確認
●定休日:休業なし
●料金:クロスバイク、シティサイクルなど=1日につき大人1000円、小人(12歳以下)300円、タンデム自転車=1日につき1200円、電動アシスト自転車=1日のみ1500円
●保証料:大人1000円、小学生以下500円
※保証料は、貸出ターミナルまたは貸出ターミナルと同じ島内のターミナルに返却した際にのみ返却
※タンデム自転車、電動アシスト自転車は、大人用のみ。乗り捨て不可

写真・文=黒岩 正和(96BOX)
動画=藤井 和幸(96BOX)

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