【動画】沖島:淡水湖に浮かぶ日本唯一の有人島

旅と暮らし

・湖に浮かぶ島で住民がいるのは日本でこの島だけ
・名産品は奈良時代に生まれた「鮒(ふな)ずし」
・春の桜、秋の紅葉シーズンに訪れるのがおすすめ

 

「三輪自転車の島」「猫島」としても有名

日本最大の湖・琵琶湖に浮かぶ沖島は、滋賀県近江八幡市に属する、日本で唯一の「住民がいる淡水湖の島」。周囲6.8キロメートル、面積1.52平方キロメートルの島内には、約300人が暮らしている。湖畔からの距離は約1.5 キロメートルで、対岸の「堀切港」から「おきしま通船」に乗れば、10分ほどで「沖島漁港」に到着する。

堀切港と沖島を結ぶ「おきしま通船」

南西部の港近くに集落が形成されていて、小学校や保育園、郵便局などがある。しかし、島内には自動車が1台もないため、当然信号もない。移動手段としては、船荷の運搬などにも利用できる三輪自転車を所有する人が多い。そのため、沖島には「三輪自転車の島」という愛称もある。また、猫写真の第一人者・岩合光昭(いわごう・みつあき)氏の写真集『島の猫』に取り上げられたこともあり、近年は「猫島」としても知られるようになった。

高齢化が進む島民の足として活躍する三輪自転車

のんびりとした島時間で過ごす猫

桜、紅葉、鮒ずしが楽しめる沖島

沖島の名物グルメといえば、“日本最古のすし”ともいわれる近江地方の伝統食「鮒ずし」。琵琶湖で春に捕れたニゴロブナを2~3カ月ほど塩切り(塩漬けのこと)し、夏に塩抜きをしてからご飯を重ねて漬け込んで乳酸発酵させたものだ。秋の終わりから冬に食べ頃となる。数年間熟成させることができるため、保存食としても重宝されてきた。この鮒ずしの食材として、沖島産のニゴロブナは特に質が高いと島外でも評判だ。

奈良時代から受け継がれてきた郷土料理の鮒ずし

春の沖島では、湖岸沿いに植えられた桜がトンネルを作る。毎年、漁協婦人部の湖島婦貴(ことぶき)の会が「桜まつり」を開催し、「ビワマスのちらしずし」や「沖島どんぶり」などの郷土料理を販売している。

桜のトンネルを通り抜ける三輪自転車

夏には漁協と琵琶湖汽船の共同企画で「鮒ずし作り体験クルーズ」が行われ、好評を博している。秋には、奥津嶋(おきつしま)神社やケンケン山で趣深い紅葉に出会える。

近江八幡や琵琶湖を観光する際は、魅力あふれる湖上の有人島・沖島まで足を延ばしてみてはどうか。

赤く色付き始めた秋の奥津嶋神社

【JR「近江八幡駅」から沖島へのアクセス】

近江八幡駅から堀切港

●近江鉄道バス「長命寺経由・休暇村行き」で「堀切港」下車
●所要時間:約30分
●運賃:710円

堀切港から沖島

●おきしま通船で「堀切港」から「沖島漁港」へ
●所要時間:約10分
●運賃:往復1000円

 

写真・文=黒岩 正和(96BOX
動画=藤井 和幸(96BOX

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