【動画】髷結い:磨き抜かれた床山の技

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お相撲さんの象徴である髷(まげ)には、床山の技と心が込められている。力士の髷結い姿を収めた動画と共に、その技を紹介する。

相撲部屋に所属しているのは力士だけではない。彼らをサポートする裏方の人々もいる。その中の一人が、力士の髷を結う床山だ。

採用資格があるのは義務教育を終えた満19歳未満の男子。大半が若くから入門して見習い期間を経て実地で経験を積み、五等から特等までの階級を上っていく。特等床山に昇進することができるのは、勤続45年以上、60歳以上の、特に成績優秀な人に限られる。ちなみに現在、相撲協会に所属する床山50数人のうち、特等床山はわずか2人しかいない。床山は全員、頭に「床」を付けた名前を名乗ることになる。高田川部屋に在籍する二等床山の床哲さんは、15歳から29年にわたって髷を結い続けているという。

力士の髷には2種類ある。髷の先をイチョウの葉のように広げた大銀杏(おおいちょう)と髪をちょこんと結ぶ丁髷(ちょんまげ)だ。大銀杏は十両以上の力士(関取)にしか許されておらず、それも本場所や公式行事の時だけ。普段は全員丁髷で過ごす。

床哲さんの道具

丁髷を結うには、まず力士の髪を丁寧にとかしていく。その後、「鬢付け油(びんづけあぶら)」とも呼ばれる「すき油」を髪の毛全体にしっかりとなじませる。その工程を何度か丁寧に繰り返した後、髪を根元近くで一本に結ぶ。このとき使うのは、元結(もとゆい)という和紙を細く巻き、海藻や米で作ったのりを塗って固めた丈夫な紐。途中でほどけてしまうことのないように、手と歯を使いきつく締める。束ねた髪を頭部に折り曲げてのせ、再度元結でしっかりと結び完成する。すべてが終わるまでには約10~15分かかる。

一見単純な作業ながら、力士それぞれに違う髪質や頭の形を見極め、簡単に崩れないよう素早く作るのは至難の業。一般的には髷2年、大銀杏5年とも言われるが、その技と勘を会得するにはさらに何年も修行が必要だ。

手と歯を使い、元結をしっかり結ぶ

力士にとって断髪は引退を意味する。髷は力士の象徴であり、誇りなのである。床山の磨き抜かれた技があってこそ、お相撲さんは凛々(りり)しい姿で土俵に上がり、勇ましく戦うことができるのだ。

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取材協力=相撲専門ウェブマガジンおすもうさん
写真=花井 智子
動画・文=野口 香織

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