
彩り豊かに自然美を描き出す加賀友禅:加賀百万石の城下町 金沢【動画】
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伝統を守りながら発展を続ける加賀友禅
石川を代表する工芸品として広く知られている加賀友禅。茶の湯文化とともに発展した金沢の着物文化は、現在に至るまで脈々と受け継がれてきた。
加賀友禅は、リアリティを追及し、自然美を描き出している。写実性を強めるために外側から内側に向けて色がだんだんと薄くなっていく「ぼかし」の多用や、植物が虫に食べられた様子を描く「虫食い」といった技法が特徴である。
制作工程の中で最も華やかで、職人の技が光るのが「彩色」だ。筆やハケを駆使してさまざまな色を付けていく。仕上がりの美しさと品格がここで決まるため、高い技術と色彩感覚が要求される。
彩色後、全体の地色をムラなく引く「地染」、余分な染料を洗い流す「友禅流し」などの工程を経る。かつて自然の川で行われていた友禅流しは、金沢の街を彩る冬の風物詩でもあった。現在はその多くが水質の安定した人工の川で行われる。
3代に渡って技を受け継いでいる加賀友禅作家の毎田仁嗣(まいだ・ひとし)さんは、伝統を守りながら、新しい加賀友禅の姿を模索する。
2017年には、北陸新幹線グランクラス専属のアテンダントが着用する「加賀友禅エプロン」を考案した。基調となる伝統色・加賀五彩(藍、臙脂、黄土、草、古代紫)を取り入れたピンクやブルーの生地に、ハナミズキやサザンカなどをあしらった5種類を制作。帯のようなデザインを施した着物風や、フリルをつけて現代風に仕立てた物など、伝統と革新を融合して好評を博した。
「今の人たちが楽しいと思ってくれるような友禅をつくっていかないと次の世代にはつながっていかないと思います。今使って面白いもの。今の人たちが求めるものを考えながら制作しています」と毎田さんは語る。
先人のゆるぎない技術を継承しながら、新しい時代のトレンドに合わせて変貌を遂げている加賀友禅。そこには、伝統的な職人の卓越した技と、金沢ならではの美意識が凝縮している。
映像提供=金沢ケーブルテレビネット「なぜだか金澤~見つけて加賀・能登」
(バナー写真=鮮やかな色が付けられていく加賀友禅)