【360ºVR動画】渋谷編:100年に一度の再開発で街並み変貌、インバウンドを引きつける世界的スクランブル交差点
JapanIn video
Images 旅と暮らし 建築- English
- 日本語
- 简体字
- 繁體字
- Français
- Español
- العربية
- Русский
◆360度VR動画の楽しみ方◆
- PCで視聴する場合は、カーソルの操作でアングルを全方位に向けることができる。
- スマートフォンやタブレットのYouTubeアプリで視聴する場合は、デバイスの向きと映像の視点が連動する。また、スワイプ操作でもアングルを変更可能。
※ iOS及びIPadOSでは、VR動画をブラウザ上で再生するとアングル操作ができなかったり、3D動画が2画面のまま表示される場合があります。 - VRゴーグルやヘッドセットを利用すると、より没入感が得られる。
若者文化の発信地が超高層ビル街に!
4社9路線が乗り入れる渋谷駅は、1日に229万人が乗り降りする世界有数のターミナル駅。JR渋谷駅前に立つこと90年の「忠犬ハチ公」の銅像は、「ハチ公口」と改札口の名称にもなっている街のシンボルである。待ち合わせの目印としてもおなじみだが、近年は記念撮影を目当てにした訪日客が押し寄せ、逆に人探しに苦労するほど混雑しがちになっている。
駅前でもう一つ、外国人のフォトスポットとなっているのが「渋谷スクランブル交差点」。1回の青信号で3000人が横断することもある“世界一混み合う交差点”とされるが、人々がぶつかりもせず平然と渡りきる。訪日客はその光景に驚くと同時に、日本人らしい譲り合いの精神も感じるという。
駅から交差点を対角線に渡ると、「渋谷センター街」として知られる目抜き通りの入り口だ。ストリートファッションの中心地である一方、「チーマー」なる不良少年がたむろするなど治安の悪い印象が広まった。イメージ一新を狙って2011年に「バスケットボールストリート」に改称したが、いまひとつ定着していない。
JR線の反対を向くと、ティーン女子向けファッションビル「SHIBUYA109(いちまるきゅう)」が見える。90年代半ば、人気歌手・安室奈美恵をファッションリーダーとする「アムラー」ブームの発信源となり、一時代を築いた“ギャルの聖地”である。
「マルキュー」と略して呼ぶ、当のギャルたちは気にも留めないだろうが、109は東急グループの傘下であり、ビル名の由来は「10(とお)9(きゅう)」の語呂合わせ。東急は1927年に東横線渋谷駅を開業して以来、駅直結の東横百貨店(34年、後の東急百貨店東横店)や、国内で最大規模の映画館と初のプラネタリウムが売りの東急文化会館(56年)など、多彩な商業施設で街づくりをしてきた。
109の成功で「若者文化の発信地」のイメージが定着したのもつかの間、東急は高層複合ビルによる「大人の街」づくりを推進。オフィスとホテルが入居する「渋谷マークシティ」(00年)は、勤め帰りの人や観光客でにぎわった。
駅南西エリアの「セルリアンタワー」(01年)には、グーグルが初の海外拠点を置いて話題に。このエリアには90年代末からITベンチャーが集まり、渋谷は日本版シリコンバレーとして期待された。オフィスの供給不足から撤退が相次いで停滞したが、2010年から六本木に移転していたグーグルが9年ぶりに渋谷凱旋を果たすなど、近年は再興の機運が高まっている。
2010年代からは渋谷駅周辺で大規模な再開発が進む。東急が主導して所有する東横線を地下化した上、百貨店などの施設を閉館し、跡地を超高層複合ビルの建設用地に充てた。ミュージカルやアートを楽しめる「渋谷ヒカリエ」(12年)、地上229メートルの屋上展望施設「SHIBUYA SKY」が観光客に人気の「渋谷スクランブルスクエア」(19年)など、新たな渋谷文化の拠点も誕生している。
100年に一度といわれる大工事は27年に完了予定。摩天楼が林立する未来都市へと様変わりし、かつてを知る人はタイムスリップした気分を味わうだろう。その一方、赤ちょうちんが並ぶ「のんべい横丁」のように、昭和の面影をとどめるスポットも健在なのが、さまざまな文化が交錯する渋谷の魅力といえる。
ハチ公とスクランブル交差点を見物した後は、転換期にある街の姿をじっくりと目に焼き付けてほしい。
文=ニッポンドットコム編集部