【360ºVR動画】東京の桜編:江戸の昔から親しまれる花見名所を巡る
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◆360度VR動画の楽しみ方◆
- PCで視聴する場合は、カーソルの操作でアングルを全方位に向けることができる。
- スマートフォンやタブレットのYouTubeアプリで視聴する場合は、デバイスの向きと映像の視点が連動する。また、スワイプ操作でもアングルを変更可能。
※ iOS及びIPadOSでは、VR動画をブラウザ上で再生するとアングル操作ができなかったり、3D動画が2画面のまま表示される場合があります。 - VRゴーグルやヘッドセットを利用すると、3Dでの観賞も可能になり、より没入感が得られる。
日本の自然美を象徴する春の風物詩
日本では平安時代から「花」といえば桜を意味し、貴族は歌に詠んでその美しさ、はかなさをめでた。桃山時代には豊臣秀吉が京都の醍醐寺(だいごじ)で花見を催し、飲めや歌えの盛大な宴に興じた。これが現代的な花見宴会の先駆けだといわれている。
東京の花見名所の元祖は「上野の山」。江戸時代の1625(寛永2)年、徳川幕府ゆかりの寛永寺を開いた天海僧正が、奈良の吉野山から桜を移植したのが始まりだった。現在の上野恩賜公園一帯には55種類1200本の桜があり、ここが発祥の品種もあるという。開花シーズンには300万人以上が押し寄せ、日本一の花見名所として知られる。
上野一辺倒だった桜名所を広げたのは8代将軍・徳川吉宗(1684-1751)。王子の飛鳥山や品川の御殿山など、江戸郊外に桜を植えて庶民に開放した。隅田川沿いもその一つで、花見客を集めて堤防を踏み固めさせる治水目的だったという説もあるほど、桜を上手に政治利用した。
江戸時代までの桜はヤマザクラが中心だったが、現代は約8割がソメイヨシノ。発祥は東京で、幕末に染井村(現在の豊島区駒込)の植木職人が異種交配で生み出したという。接ぎ木してから2年で花を開くほど成長が早く、花が密集して咲くので花見にうってつけだった。
明治以降は城跡や公園、学校などに植樹され、各地に花見スポットが次々と誕生。一斉に咲いてパッと散る様は、日本人の美意識を体現するともいわれるが、ソメイヨシノが春を彩る花になったのはわずか150年ほど前のことだ。
かつて江戸城があった皇居周辺は、桜と石垣が見事な光景を織りなす。内濠(うちぼり)沿いの千鳥ヶ淵公園はソメイヨシノがトンネルとなり、夜のライトアップも美しい。散り落ちた花びらが水面に漂う「花筏(はないかだ)」は、ボートに乗って楽しむのがおすすめだ。
目黒川沿いの桜並木は、昭和初期から護岸工事のたびに植樹され、今では両岸3.8キロに約800本が咲き誇る。桜祭りの時期には屋台が並び、お花見クルーズも就航する。
桜は日本の国花で、気象庁が開花予想をして大々的に報じられるのも、特別視されている表れである。開花シーズンが年度替わりと重なるので、卒業や入学、就職という人生の節目を彩るため、誰もが思い出の中に残る一番身近な花なのだ。
文=ニッポンドットコム編集部