【4K動画】北前船で財を成した旧角海(かどみ)家:石川県輪島市黒島

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石川県内には江戸時代から明治初期にかけて、北陸から上方(大坂)を結ぶ海運を担った北前船(きたまえぶね)の寄港地が点在した。その一つが能登半島の輪島市にある黒島地区で、栄華を誇った邸宅が軒を並べる。同地区は伝統的建造物群保存地区に指定され、国の支援を受けてかつての景観が保たれている。「旧角海家」は黒島の代表的な船主で、社屋兼住宅だった建物は国指定の重要文化財。市に寄贈され展示施設として公開されている。

船主や船頭の住宅は、板を一部重なるように取り付けた下見板張り、上部は白いしっくいで固めた壁、黒い瓦屋根に特徴がある。角海家は、海まで続く板塀がその裕福さを物語る。玄関を入ると巨大なホールが来訪者を迎えてくれる。各部屋に囲まれた中庭を石や植栽でしつらえ、奥の部屋からは日本海を望める。3階建ての頑丈な蔵は家宝などの展示室として活用されている。

近世の日本で、コメや酒、海産物などを定期的かつ大量に運ぶ手段としては、沿海を往来する廻船(かいせん)が唯一のインフラだった。当時最大の商都大坂と北陸の間に就航した廻船が北前船。その先の奥羽、蝦夷(北海道)へと航路を開拓した。角海家のような船主は「廻船問屋」と呼ばれ、輸送の請負にとどまらず、産品の買い付け・販売まで手掛ける商社的な存在だった。相場動向をにらんで投機的な売買も手掛け、巨万の富を築いた。しかし明治維新後は、蒸気船や鉄道といった交通機関に主役の座を奪われ、衰退。その栄華のほどは、旧角海家住宅からもうかがわれる。

映像提供:金沢ケーブル『なぜだか金澤 見つけて加賀・能登』
テキスト作成:ニッポンドットコム編集部

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