【4K動画】よもすがら秋風聞くや裏の山 : 師・芭蕉との別れの寂しさを詠んだ曾良―石川県加賀市・全昌寺
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加賀百万石の支藩・大聖寺藩十万石の城下町として栄えてきた加賀市大聖寺。越前との国境(くにざかい)となる市街地西南の丘陵地沿いには、藩が意図的に寺社を集めたとされる、「山ノ下寺院群」がある。
東北から北陸道を旅して、『おくのほそ道』を著した俳人松尾芭蕉は、寺院群の中ほどにある禅寺・全昌寺に一夜の宿を求めた。
腹の病のため芭蕉との同行を断念し、伊勢の親族の元へと向かった弟子の曾良とは山中温泉で別れたのだが、芭蕉が宿泊した前日、曾良も全昌寺で一夜を過ごしていた。
境内には、曾良が詠んだ句碑が建っている。
「よもすがら秋風聞くや裏の山」
一晩中、寺の裏山を吹く秋風の音を聞いていると、旅に病んで師と別れた寂しさが身にしみてくる。
曾良の思いに触れた芭蕉は、『おくのほそ道』に「一夜の隔(へだて)千里に同じ」、たった一晩の違いとはいえ、千里も遠く離れているようだと記している。
翌朝、芭蕉が全昌寺を旅立つときに詠んだ句は、
「庭掃て 出(いで)ばや寺に 散柳(ちるやなぎ)」
急いで寺を出立しようとすると、庭の柳の葉が風に散っている。せめてこの落ち葉を掃き清めてから出かけたいものだ。一宿(いっしゅく)の恩を受けたお礼に…。
映像:金沢ケーブル「なぜか金澤〜見つけて加賀・能登」より