英国代表が“ごみ拾い初代世界王者”に輝く:21カ国の選手が参加した「スポGOMIワールドカップ」決勝大会

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ごみ拾いを競技化した「スポGOMI」の世界大会が初開催。予選を勝ち抜いた21カ国の代表が、東京都・渋谷で熱戦を繰り広げた。優勝したのは英国代表で、開催国・日本代表は2位に食い込んだ。

「スポGOMI」は、制限時間内に拾ったごみのポイントを競い合う日本発祥のスポーツ。初の世界大会「スポGOMIワールドカップ」が11月22日、21カ国の代表チームが集結して東京都渋谷区で開催された。

各チームは3人一組で、競技は午前と午後の45分ずつ。渋谷駅周辺から表参道の一帯で拾い集めたごみは、全チーム合計で約550キロにも上った。優勝したのは英国代表の男女トリオで、総重量83.7キロを収集。最激戦区の日本予選を勝ち抜いた新潟県のチームは優勝が期待されたが、55.5キロで惜しくも2位に終わった。

重量83.7キロを集めて9046ポイントを獲得した英国が、記念すべき第1回大会の頂点に立った
9046ポイントを獲得した英国が、記念すべき第1回大会の頂点に立った

繁華街や路地裏など、チームごとにどこを狙うか作戦を巡らせた。写真は飲食店街「渋谷横丁」でごみを探すイタリアチーム
繁華街や路地裏など、チームごとにどこを狙うか作戦を巡らせた。写真は飲食店街「渋谷横丁」でごみを探すイタリア代表

軽量でポイントが高いたばこの吸い殻を重点的に集める戦略をとるチームも
高ポイントのたばこの吸い殻を重点的に集める戦略をとるチームも

ゴール地点の国際連合大学に、大量のごみを持って戻って来た英国代表
ゴール地点の国際連合大学に、大量のごみを持って戻って来た英国代表

「地球に最も優しいスポーツ」をキャッチフレーズとするスポGOMIは、今大会を主催したソーシャルスポーツイニシアチブの馬見塚健一代表理事が2008年に考案。ごみ拾いを競技として楽しみながら、環境問題への意識を高めることを目的とする。その国際的な普及を目指し、初の世界大会開催を23年2月に発表。日本では47都道府県での地区予選と代表決定戦で延べ1221チーム、海外では20カ国の予選に543チームが参加して、総量約8.4トンのごみを回収してきた。

開会式では、スポGOMIを支援する日本財団の笹川陽平会長が「海のごみの約8割は陸で発生している。回収が困難な海に出る前に、ごみ拾いするのが対策の第一歩。母なる海を守るため、初代王座の栄冠を勝ち取るため、白熱した試合を期待する」と奮起を促した。

せっかく集めても、適正にごみを分別しなければポイントにならない
せっかく集めても、適正に分別しなければポイントにならない。分別習慣のない国の選手は、ルールブックとにらめっこしながら苦労していた

100グラムにつき可燃物・不燃物は10ポイント、瓶・缶は12ポイント、ペットボトルは25ポイント、たばこの吸い殻は150ポイント
100グラムにつき可燃物・不燃物は10ポイント、瓶・缶は12ポイント、ペットボトルは25ポイント、たばこの吸い殻は150ポイント

各国のチームは必死に歩き回っていたが、渋谷の町には想像以上にごみが少なかったようで苦戦。ブラジル代表の屈強な男性3人組は「世界一混雑するスクランブル交差点を狙ったけれど、とてもきれいで読みが外れた」とがっかりした様子だった。まさに、この競技では“どのエリアを集中的に探すか”“ポイントの高いペットボトルやたばこの吸い殻を狙う”といった戦略が勝敗の決め手となるようだ。

初の世界王者となった英国チームは「英国と比べて、なかなかごみが見つからなかった。それは日本の素晴らしい文化だと思う」と述べ、今後はごみ拾いの習慣と競技の普及に努めると誓った。第2回ワールドカップは参加国を増やし、2年後の開催を目指すという。

日本チームは土地勘のない渋谷ながら、競技歴3年のアドバンテージを生かして健闘
新潟予選から勝ち上がった日本代表も渋谷に土地勘はなかったが、競技歴3年のアドバンテージを生かして健闘

本大会で集めたごみの総量は548キロに及んだ
本大会で集めたごみの総量は548キロに及んだ

取材・文・写真=ニッポンドットコム編集部

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