離島海岸に漂着した海洋プラスチックごみ1.2トンを一掃:減容機で圧縮し、運搬コストを削減―広島・阿多田島
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大型フロート400本を1日で処分
広島県大竹市の阿多田島で11月17日、島西部の長浦海岸に打ち上げられた大型フロート(漁業用の浮き)400本など大量のごみを一掃した。この実証実験は、上陸用舟艇や特殊車両、プラスチック減容機を活用し、立ち入りや運搬が難しい離島海岸や半島先端部における清掃活動のモデルケースをつくることが狙いだ。
実施したのは岡山県と広島県、香川県、愛媛県が、日本財団と連携して推進する海洋ごみ対策プロジェクト「瀬戸内オーシャンズX」。本州と四国、九州に囲まれる瀬戸内海は、外洋からの漂流物が比較的少ないが、それでも年間4500トンもの海洋ごみが発生するという。清掃作業には地元漁業関係者のほか、広島県の湯崎英彦知事や日本財団の笹川陽平会長など約200人が参加。漂着物の運搬やごみ拾いに、汗を流した。
高齢化の島を悩ます海洋ごみ問題
広島湾に浮かぶ阿多田島は、人口250人に満たない周囲11キロの小さな島。世界遺産・厳島から南へ5キロほどに位置し、イワシ漁をはじめ、ハマチやカキの養殖が盛んなことで知られている。自然も豊かで美しく、特に長浦海岸は砂浜が約350メートル続き、県の自然海浜保全地区に指定される。
しかし、船が島に近づくと、長い砂浜の端から端まで、白い大型のフロートが転がっているのが見えてくる。同船していたテレビカメラマンが「今日の実験のためにわざわざ集めてきたの?」と驚くほどの量だ。
かつて長浦海岸は、海水浴場としてにぎわっていたというが、20年ほど前から海洋ごみが漂着。島の内陸部から通じる道は草木に埋もれ、船を着岸させる桟橋もないため、立ち入ることは難しい。阿多田島漁業協同組合の川原秀正組合長は「高齢化が進む島で、浜に散乱する大量の海洋ごみの処理に、長年頭を悩ませてきた」と打ち明ける。砂浜に降り立った湯崎知事も「20年でこんなにひどい状況になるとは、海洋ごみは本当に恐ろしいと実感した」そうだ。
プラスチックを圧縮し、運搬の効率化・省力化に成功
今回の実証事業では、上陸用舟艇で砂浜に着岸し、特殊車両やビーチクリーナを陸揚げ。上陸用舟艇は桟橋の代わりも果たすため、清掃作業に当たる人員を船で送り込むことも可能になる。
大型フロートは400本もあるが、リレー形式によって一気に運び、上陸用舟艇の近くに積み上げる。離れた場所に流れ着いていたゴミも、バギー車やキャリアダンプで運搬するので、あっという間に集められていく。
今回の実証実験の目玉は「プラスチック減容機」。フロートは発泡スチロール製で、1個あたりの重さは3キロ程度。400個分の総重量は1.2トンだが、かさばるために10トントラックでも運びきれない。そこで、減容機で10分の1に圧縮し、2トントラック1台に積み込めるようにしようというものだ。その結果、海上・陸上共に、運搬の労力やコストを大幅に削減できる。
清掃活動以上に、ごみを出さないことが大切
清掃終了後、湯崎知事は「今日の現場を見て、ごみを出すのは簡単だが、きれいにするのは大変だと胸に刻んでいただければ」と述べた。
笹川会長も「瀬戸内海を世界一美しい内海にしようということで、4県の知事が団結している。こうした実証実験をきっかけに、子どもたちにも協力してもらい、ごみを出さない時代に変えていかねばならない」と力強く語った。
瀬戸内オーシャンズXでは、海洋ごみの新規流入量を7割削減し、回収率も1割以上増やすことを目標に掲げている。今後も、効率的な清掃活動のモデル構築を進める予定だ。広島県も2050年までに、海洋プラスチックごみをゼロにすること目指していく。
写真=ニッポンドットコム編集部