
ニューヨーカーは小室眞子さん・圭さん夫妻をどう見ているのか
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2021年末、オミクロン株の拡大により、ニューヨーク州での1日の新規感染者数はかつてないほど急増し、1日5万人を超える日が続いている。入院が必要なほどの重症患者数も20年3月ほどではないにしても、急増中だ。
州では病床と医療従事者を確保するため、不要不急の医療行為の制限などを可能にするよう、12月3日から22年1月25日までニューヨークは非常事態宣言下に置かれた。
さて、そんなパンデミックが終息する気配のないコロナ禍のニューヨークで新婚生活を送る小室夫妻に対する現地の注目度はどうなっているのか。
NYメディアの報道ぶり
米国の主要メディアは、小室夫妻の結婚の際、日本で起こっていた騒動について報じた。オピニオンリーダー的なニューヨークタイムズ、ワシントンポストから、ビジネス・経済系のウォール・ストリートジャーナル、大衆紙のニューヨークポストまで、写真付きで二人の結婚騒動について取り上げたものだ。
ただし、筆者は当地での長年の生活を通して、一般の米国人が日本の皇室にさほど関心を持っていないことを肌で感じている。そのため、二人がニューヨークに移住してほどなくして、記者たちも追いかけ回すようなことはやめ、報道はフェードダウンするのではないかと思っていた。
しかし、その予想は外れた。新たに二人に目を付けたのは、英国の大衆紙だった。英国と言えば王室のあるお国柄もあってか、国民は日頃から王室関連のニュースには敏感なようだ。
はじめに小室夫妻のニューヨークでの新居を報じたのは、英国のタブロイド紙、デイリーメールだった。同紙は空港から新居のあるマンハッタン区ヘルズキッチン地区の高級高層アパートまで二人の送迎車を追跡し、アパート前で遠方から隠し撮りし、写真を何枚も掲載した。その中の1枚は意図的なのだろうか、居住アパートの住所が分かるようなカットだった。
小室さん夫妻が居を構えるヘルズキッチン地区。周囲は高層ビルが多いが、この地区は低層階のビルが多いのが特徴 ©Kasumi Abe
ヘルズキッチン地区と言えば、ミッドタウンの西側に位置し、タイムズスクエアやブロードウェイの劇場、セントラルパークなど、どこへ行くにも便利な場所だ。気取らない庶民的な飲食店や小売店が軒を並べ、これまであまり注目されることのなかったエリアだが、二人の新居のニュースが報じられると、一気に日本からの注目度が高まった。
手前の高層ビル群と川の間の低層のエリアがヘルズキッチン地区 ©Kasumi Abe
ちなみに昨年12月半ばには、このヘルズキッチン地区にある日本のラーメン店、一風堂(IPPUDO)で二人がラーメンをすすっている姿が目撃されたと、日本のメディアが報じた。
ご執心なのはタブロイド紙とユーチューバー
デイリーメールのカメラマンは、その後も頻繁に二人を追いかけ回しているようだ。移住から間もなくして、眞子さんが日用雑貨品の大型チェーン店、ベッドバス&ビヨンド(Bed Bath & Beyond)でハンガーなどの買い物をしたり、一人でそれらの荷物を両手に抱えて道を迷いながら歩いている姿を、同紙はまたも遠方から隠し撮りし、写真を複数掲載した。別の日には、眞子さんが圭さんと共にミッドタウンの公園、ブライアントパークなどを散歩している様子も報じている。
このデイリーメールの一報に追随したのは、地元ニューヨークのタブロイド紙、ニューヨークポストだ。同紙は新居があるビルのウェブサイトからイメージ写真を引用し、居住アパートについて詳しく紹介した。筆者は後日、この新聞社で働く記者と話をする機会があったが、ウェブニュースの方はかなりのアクセスがあったという。
また、日本国内での「小室さん報道」との違いは、ニューヨークでは、ユーチューバーも参戦していることだ。代表的なのは、地元のCelebrity NYC momentというセレブ専門で追いかけているユーチューバー。小室圭さんの通勤姿(「(米国で)初の仕事頑張って!」と声を掛けている)、眞子さんと圭さんが(おそらく感謝祭の夜)、地元の有名クッキー店、ルヴァン・ベーカリー(Levain Bakery)で土産を買い、知り合いの家を訪ねるまでの様子などを撮影し、動画をアップしている。現時点でそれぞれ6万〜10万弱のアクセスがあり、そこそこ見られているようだ。
英国のデイリーメールはクリスマス前の23日にも、元駐日米国大使のキャロライン・ケネディ氏が住むアッパーイーストサイド地区の高級アパートを眞子さんが1人で訪ねたことを、パパラッチしたばかり。「3時間滞在した」とあるので、カメラマンは眞子さんがその建物から出てくるまでじっと外で待っていたのだろうか?
小室夫妻の居住アパートの住所がはっきり分かる写真を掲載したデイリーメールだが、ケネディ氏の居住アパートの住所については、分からないように加工している(この違いが何かは不明)。ケネディ氏からは訴えられる可能性があることを警戒したのだろうか?
こうした報道に続けとばかりに、米国の週刊誌のピープルなども、後追い記事を掲載している。ちなみにピープルは12月半ばも、街中を散策する夫妻の姿を掲載した。
一方、新居アパートを掲載した地元のニューヨークポストは、どうやら夫妻を追いかけ回す専属カメラマンはいないようで、デイリーメールほどの熱量は感じられない。
しかし、チャンスあらばと、今後も小室夫妻の動向に注目しているようだ。筆者が話す機会があったニューヨークポストの記者は、眞子さんが街角を歩いているデイリーメールの記事を読んだそうで、こんなことを言っていた。
「写真を見たけど、ごく普通の格好をしていて好感が持てる女性じゃないの。一体何が問題なの?」
この記者と話して感じたのは、なぜ日本であれほどの議論が沸き起こったのか、これまで報じられてきた小室圭さんの母親の借金問題や現在に至るプロセスまでは、詳しく把握していない様子だった。
ヘルズキッチン地区には、気取らないカジュアルなレストランが多い ©Kasumi Abe
ニューヨーカーはどう見ているか
米国人にとって、スペイン王室やスウェーデン王室などと比べると、英国王室の方がより身近な存在のため、一般の米国人はヘンリー王子夫妻の「騒動」については多少知っている。
しかし、かたや日本の皇室、元皇族となると、冒頭にも書いたが、一般の米国人はほとんど知らないと言っていい。例えば、筆者の周りの人(日系米国人含む)でさえ知らないし、関心もないようだ。眞子さん夫妻の話題を振ってみても、「へぇ」でだいたい会話は終わってしまう。
筆者の周りに一人だけ、小室夫妻の情報をフォローしている米国人(男性)がいる。彼は結婚騒動から圭さんのポニーテール論争までこと細かに知っていた。理由を聞くと、もともと日本文化に造詣(ぞうけい)が深く、日頃から日本のニュースにアンテナを張っているからということだった。中にはそんな人もいる。いるにはいるが、かなりまれだ。
一方、当地在住の日本人は、二人についてそれなりに関心があるようだ。二人の移住当初、日本人コミュニティーでは、ヘルズキッチンなどが話題に上ったりもした。
「もし道でばったり会ったらどうする?」という質問に対して、「挨拶ぐらいするだろうね。眞子さんがそこにいて、無視して歩き去るのもどうかと思うから」という会話が聞こえてきたこともある。筆者の周りで道でばったり遭遇した人はまだいないが……。
小室さん夫妻について移住からこれまでを総括すると、米国ではあまり関心を持たれていないが、王室がある英国の大衆紙デイリーメールと、動画を上げればある程度の再生回数が記録されるニューヨークの地元ユーチューバーが中心となって、しつこく二人を追いかけ回している状態だ。異国に住んでまで、住居ビルから一歩外に出た途端、「いつ」「どこで」「どんな姿」を望遠カメラで狙われているのかと気が抜けない生活なんて、同情を禁じ得ない。
結婚時、眞子さんは回答文にてこのように発表した。
「新しい環境で心穏やかに生活を送りたい」
二人にとって心穏やかなニューヨークの生活が早くやってくることを、同じニューヨークの住民として願わずにはいられない。
バナー写真:夫の小室圭さんと共に渡米後、ニューヨークに到着した小室眞子さん=2021年11月14日、ケネディ国際空港(ロイター=共同)