Withコロナ時代の日台修学旅行とオンライン交流

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加藤 秀彦 【Profile】

2011年の東日本大震災をきっかけに、海外の修学旅行先に台湾を選ぶ高校が増え、今では断トツの1位になっている。しかし、2020年は新型コロナウイルス禍でそのほとんどが中止。そんな中、情報通信技術を活用したさまざまな新たな取り組みが行われるようになった。

民間団体によるオンライン交流会の舞台裏

また、民間の日台交流団体でもオンライン交流が進んでいる。

20~30代の若い世代の交流を目的に2010年に設立した日台若手交流会(野場惇平会長)は、毎年6月と12月に日本人と在日台湾人約150人が参加する大交流会を名古屋市内のホテルで開催している。設立10年目に当たる2020年は例年以上に盛り上げようとしていた矢先にコロナ禍に見舞われた。

リアルイベントでの感染拡大を避けるため、今年はオンライン開催に切り替えるが、従来とは異なる苦労もあったという。名古屋でのイベントに参加する台湾人はほとんどが日本で生活しており、台湾でのイベントに参加する日本人は台湾に暮らしているケースがほとんどでそれぞれの現地の言葉でのコミュニケーションに支障はない。しかし、オンライン交流会ではさまざまな語学レベルの人が参加する。そのため説明や資料を細かく通訳・翻訳するなど、言語の壁で意思疎通できない事態を避ける工夫をした。

胎動する日台交流ニューノーマル

日本と台湾の学生同士の交流は、台湾修学旅行の増加で盛り上がりを見せていたが、現時点ではコロナ禍による渡航制限のため、ブレーキがかかっている。しかしSSH指定校や民間団体はICTを用いた日台学生交流を模索している。従来とは異なる状況下で、学生は創意工夫でさまざまな制限があるWithコロナ時代に適応する新しい日台交流の形を見つけようとしているのだ。

Withコロナ時代のいま、日台交流のニューノーマルは、これまでの枠や常識にとらわれない柔軟な発想が求められている。学生をはじめ若い世代の日台交流の担い手は試行錯誤を繰り返しながら前に進んでいる。Withコロナ時代やAfterコロナ時代の日台交流は、今まさに彼らの中で胎動しているのだ。

バナー写真=日台オンライン交流会の様子(筆者提供、筆者は左列下から2番目)

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1980年名古屋市生まれ。初めての海外旅行で台湾を訪れて魅了される。2010年に日台若手交流会(名古屋拠点、台湾に2支部)を設立し代表に就任。20代30代を中心とした若い世代の日台交流に取り組む。現在は名誉会長。2018年の花蓮地震では日本で義援金を募り、1300万円を被災地に届けた。高校の台湾修学旅行研修や社会人講話講師も務める。
公式ウェブサイト:https://kato-hidehiko.asia/

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