台湾の日本語世代が集う友愛会――美しく正しい日本語を台湾に残したい人々の思い

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権田 猛資 【Profile】

「美しく正しい日本語を台湾に残す」ことを目指す友愛会。月に一度、台北市内で「日本語世代」の人々が集う日本語勉強会である。なぜ今なお、日本語を学び続けるのか。そこには日本語への深い愛着と切実な思いがあった。

友愛会のこれから

張文芳氏は友愛会の存在は「余生の一番の糧」と話す。毎朝5時半に起床して一日一万歩以上歩いて体調管理に気を付けたり、パソコンの技術を学び使いこなしたりしているのは、すべて「友愛会のため」という。

月に一度の友愛会は、「『日本人』として日本語での意思疎通が楽しめる唯一の場」と話す日本語世代の会員もいる。それぞれの会員にとって友愛会に集う理由や思いは異なるが、誰もが必要とし、長く継続されることを望んでいるのは疑いない。

日本語世代が減少する中、いかに「美しく正しい日本語を台湾に残す」か、また後継世代を育成していくか、友愛会の使命と責務を引き継いでいる張氏ら関係者は、台湾における「母語」あるいは一つの「外国語」としての日本語の在り方について、今も課題に向き合い考え続けている。

近年は日本人のゲスト参加者も多く、学生らが日本語世代の会員と交流する場にもなっている(筆者撮影)
近年は日本人のゲスト参加者も多く、学生らが日本語世代の会員と交流する場にもなっている(筆者撮影)

バナー写真=月に一度の「友愛会」月例会に集う人々(筆者撮影)

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台湾国立政治大學大学院修士課程。1990年生まれ。主に戦後の日台関係史を研究。また、バシー海峡戦没者慰霊祭や廣枝音右衛門氏慰霊祭の事務局長を務める。

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