早く台湾に行きたい!新型コロナで日本の台湾ファン「哈台族」に台湾ロスの危機

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林 翠儀 【Profile】

新型コロナウイルスの世界的な流行により、現在、各国間の往来が制限されている。台湾でも外国からの入国はほとんど緩和されておらず、日本と長期にわたり自由な往来ができていない状況だ。そのため、これまで定期的に台湾旅行を楽しんでいた台湾ファンの間に「台湾ロス」が広がっている。

台湾旅行の醍醐味

安村さんは彼女が台湾旅行の計画を立てるために長年使ってきたノートを披露してくれた。そこには安村さんが台湾で行きたい場所、食べたいもの、見たい風景がびっしりと書き込まれている。安村さんは、「私のような世代は書いて考えるのです」と話す。そして安村さんの「旅行」とは、ノートに書き込むところから始まると教えてくれた。ガイドブックを見ながら、時刻表を調べる瞬間がとてもワクワクするそうだ。そして安村さんにとって旅行の最も興奮する瞬間は、旅行カバンを持ち横浜駅から空港に行きのバスに乗る時だという。飛行機に乗ったとき、旅行はもうフィナーレに近づいているのだ。

安村美佐子さんの台湾旅行ノート。行きたい場所、食べたいもの、見たい風景がびっしりと書き込まれている(筆者撮影)
安村美佐子さんの台湾旅行ノート。行きたい場所、食べたいもの、見たい風景がびっしりと書き込まれている(筆者撮影)

台湾に出会う前、安村さんはハワイや上海など多くの都市を旅行したそうだ。しかし初めて台湾に行ってからというもの、彼女は他の国に行く気が全く失せてしまったという。彼女はハッキリとした口調で「(私にとって)他の国は台湾には及ばないの」と話す。安村さんにとって、台湾はちょっと飛行機に乗っただけで着く、リラックスでき安心できる場所。そして台湾にしかないな熱気がこもった空気。安村さんは台湾に降り立つ度に「帰って来た」という感覚に陥るのだという。

安村さんは、日本人の中には台湾に着いたとき安村さんと同じように「帰ってきた」という感覚を覚える人も少なくないと話す。たとえば去年、安村さんの同僚が南部・高雄市の「世界一美しいゲストハウス」という声もある「あひる家」に泊まろうとしたとき、その同僚は道に迷ってしまったそうだ。その際、一人の親切な男性が道を案内してくれたという。その同僚は帰国してからというもの「台湾は第2の故郷です」と言うようになったそうだ。

安村さんは台湾に行けないときは、日本で台湾の姿を探してパワーを充電している。3年前、彼女は錦糸町で行われた台湾在住の日本人作家・片倉佳史さんの講演を聞きに行き、片倉さん夫妻と知り合った。そこで安村さんがその年の6月に台湾一周旅行を計画していることを話すと、片倉さん夫妻から多くのアドバイスを受け、それをきっかけにすっかり仲良くなったのだ。

その後、片倉さんが日本で講演等を行う際、安村さんはボランティアとして現場を手伝うようになった。そしてあるとき安村さんと一緒にボランティアをしていた「台湾世界遺産登録応援会」の幹部と知り合ったのだ。安村さんは応援会のことを知るやいなやすぐ会員になった。安村さんは、「台湾はこんなに素晴らしい場所があるのに、多くの(日本の)人は知りません。台湾はただの観光地ではありません。もっと多くの人に深く知ってほしいですね」そして「そしてその歴史を知ることで、台湾と日本の関係を知ることができると思います」と話した。

片倉佳史さんの台湾に関する著書。安村美佐子にとって台湾旅行のバイブルとなっている(筆者撮影)
片倉佳史さんの台湾に関する著書。安村美佐子にとって台湾旅行のバイブルとなっている(筆者撮影)

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台湾自由時報東京特派員。政治記者として10数年、その後、90年代初めに起こった台湾の日本ブームで、日本語を勉強。その後、社内で編集や日本語翻訳へ活躍の場を広げる。著書に『哈日解癮雜貨店』(印刻出版、2017年)がある。

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