台南に婿入りした日本人公務員は結婚式で何を考えたか

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阿部 真行 【Profile】

台南市政府で働く「日本人公務員」がいる。群馬県の小さな町から派遣され、そのまま台南に暮らし続けて6年。とうとう台南の女性と結婚してしまった。台南と日本をつなぐ人材が、結婚式で目撃したカルチャー・ギャップと感動とは。

頼清徳・行政院長が祝辞

11月11日の台南市での披露宴では当時、台湾の行政院長(日本の首相に相当)の立場にあった頼清徳氏も出席し、「台南市政府は阿部に給料を払わなかったが、代わりに台南の女性を差し上げた。これで台南市とみなかみ町は友人というだけでなく親戚・家族の関係になった」との祝辞をいただいた。

当時の台湾行政院長・頼清徳氏も筆者の結婚披露宴に出席(筆者提供)
当時の台湾行政院長・頼清徳氏も筆者の結婚披露宴に出席(筆者提供)

台湾と日本は招待客の参加方法がちょっと違っている。日本では招待状を受け取った本人以外が出席することはまずあり得ないが、台湾では招待客が知り合いを連れてくることがある。日本の会席料理と違い、円卓での大皿料理方式の台湾ではかなり自由に席の増減が可能なのである。私の場合、日本からの親族・同僚・友人、そして台湾でも多く友人ができていたので参加者は当初800人程度(これでもかなり大規模)を予想して準備していたが、最終的には970人も参加してくれた。予想以上に多くの人が来てくれたため、受付は大混乱に陥り、式が始まってからも予備テーブルを出し続ける状態だった。

最終的に披露宴出席者は970人となった(筆者提供)
最終的に披露宴出席者は970人となった(筆者提供)

その翌日11月12日には、台南市政府民生局主催の合同結婚式が開かれた。当時の民政局長陳宗彦氏(台南市とみなかみ町をつなげてくれたキーパーソン)から「阿部は和服を着て出席するように」と言われ、100組ものカップルを代表してステージに上がる貴重な経験をした。

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阿部 真行ABE Masayuki経歴・執筆一覧を見る

大東文化大学外国語学部卒。高校講師などを経て2005年からみなかみ町職員。2013年6月から台南市へ渡る。現地での役職は「台南市政府対日事務相談顧問」。日台双方の国家資格を取得し、インバウンドを主とした交流を推進中。現地大学で講師も務める。

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