島々の悲歌——沖縄、琉球と台湾(前編)

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10月31日、朝起きてスマホを手に取ると、思わず目を瞠(みは)った――首里城全焼のニュースを見たのだ。

LINEニュースの速報写真の中で、首里城はめらめらと燃え上がる炎に包まれて骨組みしか残っておらず、深夜の暗闇は炎に照らされて赤銅色に染まっている。記憶の中の色鮮やかな朱塗りの門扉や柱、金色の竜の装飾が施される唐玻豐(からはふ)など、もはやどこにもない。

首里城焼失の僅か3週間前、私は取材旅行で沖縄に滞在し、かつて琉球王府のあったこの王城も訪ねた。だから余計に首里城の火災は私に大きなショックを与え、また諸行無常の感をもたらしたのだ。

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