忘れたの?それとも、思い出すのが怖い?――台湾映画『返校』をみて考える、歴史への向き合い方

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栖来 ひかり 【Profile】

台湾映画の興行成績を次々と塗り替えている『返校』。白色テロを題材にした作品では、実に20年以上現れていなかったという。制作側の思いと、それを受け入れる台湾社会について分析する。

韓国における公的助成

最後に、台湾では今後も面白い作品が出てくるとは思うが、公的助成については、韓国映画振興委員会(KOFIC)の方法論はとても参考になると思う。韓国映画振興委員会(KOFIC)の「多様性映画」助成の諸条件には、例えばこんなものがある。

  • 複雑なテーマを扱い、大衆が理解しがたい映画
  • 商業映画の外で文化的・社会的・政治的イシューを扱う映画 

興行的な成功が見込まれる商業映画以外をきちんと公費で目配りしていくことで、制作者や業界は育っていく。多様性ある土壌は発酵して豊かさを増し、やがて大きな花を咲かせるのは、ここ20年の韓国映画によく表れている。これからの台湾でも、どんな映画作品が生まれてくるのか、多いに期待したいところだ。

映画『返校』(影一製作所提供)
映画『返校』(影一製作所提供)

参考:(1)独立映画鍋、(2)映画の多様性を保証する文化政策

バナー写真=映画『返校』(影一製作所提供)

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栖来 ひかりSUMIKI Hikari経歴・執筆一覧を見る

台湾在住ライター。1976年生まれ、山口県出身。京都市立芸術大学美術学部卒。2006年より台湾在住。台湾に暮らす日日旅の如く新鮮なまなざしを持って、失われていく風景や忘れられた記憶を見つめ、掘り起こし、重層的な台湾の魅力を伝える。著書に『台湾と山口をつなぐ旅』(2017年、西日本出版社)、『時をかける台湾Y字路~記憶のワンダーランドへようこそ』(2019年、図書出版ヘウレーカ)、台日萬華鏡(2021年、玉山社)。 個人ブログ:『台北歳時記~taipei story

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