台湾飲食業界で成功するためには〜なぜ日系拉麺店の撤退が相次ぐのか(上) コスト編

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野崎 孝男 【Profile】

台湾発のタピオカドリンクが日本で大ブームとなり、今年の夏はどこに行ってもタピオカタピオカ、タピオカという状況だ。台湾の有名店や日本の飲食業も競って参入し、有名人気店がオープンとなれば行列必至。そんなタピオカの発祥地・台湾では、今年7月から8月にかけて、ミシュラン掲載店として知られる北海道の梅光軒や沖縄の新麺通堂、つけ麺チェーン店三田製麺所など日本の有名ラーメン店が相次いで営業終了を発表し、現地で大きなニュースとなっている。撤退を発表したこの3つのブランドは台南で複数店舗を経営していたため、全店同時に営業終了というのは社会的に大きなインパクトを呼び起こしたのである。

皮肉なことだが、台湾タピオカブームで沸く日本とは対照的に、台湾では台湾に進出した飲食店の撤退ラッシュが起きているのである。本稿では、(上)で主に意外に低くない台湾でのコスト面から、(下)では主に経営戦略面から、日本の飲食業における台湾進出の難しさについて考えてみたい。

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野崎 孝男NOZAKI Takao経歴・執筆一覧を見る

台南市政府城市外交顧問、内政部移民署新住民發展基金管理會委員、台南市日本人協会理事長、創新美味股份有限公司董事長。1974年生まれ。台湾大学法学院博士課程後期単位取得満了。元東京都練馬区議会議員。専門は公共政策、企業マネジメント。台湾で飲食チェーン店や法律コンサル事務所を経営。

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