到来!タピオカドリンクブーム(上)——目指せ台湾の誇り、東京・自由が丘で創業

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一青 妙 【Profile】

タピオカドリンクブームが席巻する中、メイドイン台湾にこだわる「MR TAPIOCA」と舞台裏の「台湾」に注目する。

日本中がブームに沸く

人口減の日本では、昔のようにあまり行列をみかけなくなった。ところが近頃、街のあちらこちらで行列を見かけることが多い。学生ら若者たちが街に繰り出す夕刻ごろになると、警備員が交通整理を始めるほど道路に行列が溢れ出す。土日や祝祭日はさらに、人の列が長くなる。

長蛇の列の先にあるのは、今話題の「タピオカドリンク店」だ。

店から出てきた人は、液体の入ったプラスチック製の透明なカップを片手に、通常よりも倍くらいの太さのストローから黒くて丸い粒を吸い上げ、口をもぐもぐとさせている。携帯を取り出し、店前でカップと一緒にポーズを取る人も少なくない。みんな嬉々としていて、どことなく誇らしげに見える。

日本中に広がったタピオカドリンクブームは、雑誌やネットで紹介されるだけでなく、人気テレビ番組「マツコの知らない世界」でも、「タピオカドリンクの世界」というタイトルで特集が組まれるほどの加熱ぶりだ。

東京は、多くの若者が集まる新宿や渋谷付近を筆頭に、子育て世代が増えている新小岩や町田でも、オープンラッシュが続いている。私の自宅近くには、カフェや雑貨屋が多く、おしゃれスポットとして有名な自由が丘という街がある。新宿や渋谷に比べれば街の規模はだいぶ小さいが、タピオカドリンクの波は押し寄せている。「こんなところにも!」と、ビルの合間の驚くような狭いスペースに店ができたと思えば、駅近くの立地の良い場所に、堂々と店を構えるチェーン店もあり、タピオカドリンク店は百花繚乱だ。

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一青 妙HITOTO Tae経歴・執筆一覧を見る

女優・歯科医・作家。台湾人の父と、日本人の母との間に生まれる。幼少期を台湾で過ごし11歳から日本で生活。家族や台湾をテーマにエッセイを多数執筆し、著書に『ママ、ごはんまだ?』『私の箱子』『私の台南』『環島〜ぐるっと台湾一周の旅』などがある。台南市親善大使、石川県中能登町観光大使。『ママ、ごはんまだ?』を原作にした同名の日台合作映画が上映され、2019年3月、『私の箱子』を原作にした舞台が台湾で上演、本人も出演した。ブログ「妙的日記」やX(旧ツイッター)からも発信中。

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