進化するニッポンのラーメン文化

【青森】もうひとつの津軽煮干しラーメン・神田『長尾中華そば』–東京で食べられる“ご当地ラーメン”

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山川 大介 【Profile】

青森県津軽地方で古くから愛されてきた「津軽ラーメン」。その最大の特徴は、陸奥湾で捕れたアジやイワシの煮干しをぜいたくに使ったスープにある。『長尾中華そば』は煮干しのうまみを極限まで引き出し、ガツンとインパクトのある味わいの「濃厚煮干し系」で青森のラーメンシーンを塗り替えた。そんな伝説的な一杯を東京では唯一、千代田区・神田で味わえる。

看板メニューの「こく煮干し」は、ひと目見ただけでその濃厚さが伝わる。スープは深い茶褐色で、麺にとろみのあるスープが絡みつく。「濃厚」の理由は、青森県産の良質な煮干しを惜しみなく使い、豚骨とともにじっくり炊き込んだダブルスープにある。煮干しのうまみが舌を支配し、魚介特有のほろ苦さと甘み、そして豚骨のコクが絶妙なバランスで調和する。まさに「煮干しを食べている」かのような感覚に陥るはずだ。一口すすればもう後戻りできない、煮干しラーメンの概念を覆す一杯をぜひ味わってほしい。

ホームページ:https://naga-chu.com/

バナー写真:『長尾中華そば』の「こく煮干し」。写真はセット限定の全部のせ(1300円)、撮影=山川大介

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    山川 大介YAMAKAWA Daisuke経歴・執筆一覧を見る

    立命館大学卒業後、飲食メディアでラーメン店の取材に注力。その後広告代理店勤務を経て、2023年に日本初となるラーメンの麺を使ったクラフトビール『華麺舞踏会』を開発。現在は株式会社Beer the Firstの取締役に就任し、企業や全国の自治体との商品開発、SNSを使った集客支援、執筆など多岐にわたり活動中。

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