岡本碧優:新種目スケートボード女子、世界ランク1位の15歳―東京五輪の金メダル候補たち(7)
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小学6年生で日本代表に
空中高く跳び上がるスケートボーダーの姿に憧れ、自分もそうなりたいと思った。
岡本は愛知県高浜市生まれ。兄の影響で小学2年生の頃にスケートボードにのめリ込むと、瞬く間に頭角を現した。国内の大会で好成績を残し、小学6年生になった2018年には日本代表として世界選手権に出場、5位入賞を果たした。スケートボード、特に女子のトップ選手においては、身軽で敏捷性に富む十代が多いとはいえ、彼女の才能は突出していた。
世界のスケートボード界で脚光を浴びるようになった岡本は、さらに貪欲に高みを目指す。
「もっとスケートボードをしたい、上手になりたい」
そう思ったとき、岡本は決断した。男子の第一人者である笹岡健介の実家に下宿し、笹岡の兄で指導に定評のあるプロスケートボーダー、拳道(けんと)に教えを請うことにしたのだ。
笹岡家は隣県の岐阜にあるとはいえ、小学6年生で家を離れるというのは、やはり思い切った選択だ。そこに躊躇(ちゅうちょ)がなかったのは、スケートボードへの強い思いからだった。
女子初の「バックサイド540」
笹岡とともに練習に打ち込んだ成果は、成績やパフォーマンスに如実に表れた。
2019年、東京五輪予選対象大会の一つである国際大会「デューツアー」で優勝。この大会では、女子で史上初めて、空中で後ろ向きに体を一回転半する「バックサイド540」という高難度の技を成功させ、ファンや関係者を驚嘆させた。
その後も、ストリートスポーツにとっての大舞台「X(エックス)ゲーム」をはじめ、国際大会で次々に優勝。現在も世界ランキング1位を維持し、目標としてきた東京五輪代表の座も手に入れた。
「自分の滑り」の先にあるメダル
中学3年生で迎える東京五輪では、優勝候補の筆頭に挙げられている。重圧がのしかかって不思議はない。
ただ、岡本にその気配はない。
「もっと技を増やして、自分の滑りができればと思います」
身長141センチの体でダイナミックな技を繰り出し、見る人々を惹きつける岡本の根底にあるのは、もっと難しい技を披露したい、もっと上達したいという一貫した思いだ。
そこにぶれがない限り、プレッシャーをかいくぐって栄冠を手に入れることは難しくない。
試合は8月4日。東京の空に、岡本は高く舞い上がる。
バナー写真:デューツアーのパーク女子決勝で滑走する岡本(2021年5月23日、アメリカ・アイオワ州モデイン)AFP=時事