大坂なおみ:豊かな表情とコメント力でも愛されるテニスの元世界1-東京五輪の金メダル候補たち(1)
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1997年に大阪市で生まれ、父はハイチ系米国人。3歳で米国に移り住み、2013年にプロとなった。その強打で一気にトップ選手に駆け上がったのは18年の全米オープン。決勝で四大大会23度の優勝を誇るセリーナ・ウィリアムズ(米国)を破り、男女を通じて日本勢で初めて四大大会のシングルスを制覇する快挙を達成した。
試合は審判に激しく抗議したウィリアムズが再三の警告を受け、荒れた。産後初のメジャータイトルを目指す女王に観客の応援が集中し、20歳の大坂は敵役に回った感があった。ところが、後味の悪さが残る表彰式でその観客の心を大坂がぐっとつかんだ。「みんながセリーナを応援していたのは分かっている。こんな結果でごめんなさい」。謙虚な物言いにブーイングは消え、若き勝者への称賛が広がっていった。
大坂の快進撃は続く。19年1月の全豪オープンにも勝ち、四大大会2連勝。男子を含めたシングルスでアジア勢初となる世界ランキング1位に駆け上った。その後は2度のコーチ変更もあってやや低迷しているが、より強くなるための過程と捉えていいだろう。
そのコメント力は卓越している。メディアはインタビューでその言葉を引き出すことに躍起となり、ファンもその語録を楽しみにしている。全米オープンでは使い古したジョークと前置きして「大阪で生まれた人はみんな名字がオオサカになるのよ」と笑わせ、「トンカツ、カツ丼、カツカレーに抹茶アイスが食べたい」と屈託なく答えた。
昨年の全豪オープンでの「3歳児のメンタリティーだったが、日々成長して決勝の後の今は5歳かな」も彼女ならではの言い回しだ。今年の全豪で負けた時は「王者のメンタリティーをまだ持っていない」と発展途上にある自らをうまく表現している。
五輪でのテニスは1988年に64年ぶりの復活。国際オリンピック委員会(IOC)がプロ選手を積極的に迎え入れることにかじを切ったからだ。日本勢はアマチュア選手の戦いだった1920年アントワープ五輪男子シングルスで熊谷一弥が銀メダルを取り、ダブルスも熊谷、柏尾誠一郎組が銀メダル。復活後、2016年リオデジャネイロ五輪では錦織圭が男子シングルスで銅メダルを獲得した。大坂には日本勢初の金メダルの期待がかかる。
バナー写真:バックハンドの強打を放つ大坂なおみ(時事通信)