結婚した眞子さん:秋篠宮ご夫妻の「類例を見ない」コメント

皇室 社会

国民の一部が激しい皇族批判を展開し、皇室の難題となっていた秋篠宮家の長女、眞子さんと小室圭さんの結婚が、婚約内定から4年余りを経て、10月26日に実現した。儀式もなく、皇室を離れる際の一時金もない内親王の結婚について、秋篠宮ご夫妻は「皇室としては類例を見ない」「皇室への影響も少なからずありました」と異例のコメントを出された。

誤った情報を痛烈に反論する眞子さん

結婚して民間人となった小室眞子さんと圭さんの記者会見は、「誤った情報」で心の傷(複雑性PTSD=心的外傷後ストレス障害)を負った眞子さんに配慮して行われた。冒頭に10分ほど二人が発言し、記者との質疑応答は行われず、事前質問には文書回答する形式に変更された。

最初に眞子さんが今の思いを、「私と圭さんの結婚について、様々な考え方があることは承知しております。ご迷惑をおかけすることになってしまった方々には、大変申し訳なく思っております」「私にとって圭さんはかけがえのない存在です。結婚は、自分たちの心を大切に守りながら生きていくために必要な選択でした」と語った。

続いて圭さんが、「私は眞子さんを愛しております。一度きりの人生を、愛する人と共に過ごしたいと思っています」と話した。

この後、眞子さんが多くの国民が知らない事実を明らかにした。圭さんの母親の金銭トラブルを巡る元婚約者への対応を含め、眞子さんがお願いする方向で進めていたこと。「海外逃亡」などと一部メディアに指摘された圭さんの留学も、眞子さんが「海外に拠点を作って欲しい」とお願いして早めに行われたこと。婚約後の圭さんの言動は、眞子さんが主導したものだった。

そして、「圭さんのすることが独断で行われていると批判され、私の気持ちを考えていないといった一方的な憶測が流れる度に、誤った情報が間違いのない事実であるかのように取り上げられ、いわれのない物語となって広がっていくことに恐怖心を覚え、辛く、悲しい思いをしました」と眞子さんは続けた。誤報を流し、国民をだました一部メディアに対する痛烈な反論である。

そして、会見の最後を、自らが傷ついた体験を踏まえて「より多くの人が、心を大切に守りながら生きていける社会にとなることを、心から願っております」と結んだ。

また、圭さんは金銭トラブルについて、相手側に解決金を受け取ってもらうことで前向きに交渉が進んでいることを説明。しかし、「母も心身の不調をきたし、身の危険を感じながら過ごしています」と述べた。

もっと早く思いを国民に語っていれば…

とても短い時間であり、二人の語りだけだったから、正確には記者会見とはいえない。しかし、「本日、皆さまにお伝えしたいことがあるため、このような場を設けました」と力強く話す眞子さんらの発言から、筆者はこれまでの経過について最低限の疑問が解け、ある程度の納得はできた。

そして、もっと早く二人が記者会見などをして国民に事実を語っていれば、こんなに混乱した事態は免れたはずだと感じた。眞子さんは皇籍離脱のその日に記者会見を開いたが、やはり皇族でいる間は国民に向かって自由にものを言えず、お気持ちを文書で発表する程度のことしかできなかったのだろうか。

結婚の関連儀式が行われなかったのは、天皇陛下と秋篠宮さまが、多くの国民の納得を得ていない状況だと判断されたためという。国民感情に配慮したお考えだったと思われる。

ただ、多くの国民は儀式の中止を望んでいるわけではなかった。これまでの経過の事実を知り、国民側に誤解があるならそれを解き、眞子さんらの結婚を理解したかったのだ。しかし、国民が眞子さんから直接に聞く機会が結婚の後となり、あまりに遅かったことを残念に思っている。

秋篠宮ご夫妻に見守られ、次女佳子さまと抱き合われる長女眞子さま=10月26日午前、東京都港区の宮邸[代表撮影](時事)
秋篠宮ご夫妻に見守られ、次女佳子さまと抱き合われる長女眞子さま=10月26日午前、東京都港区の宮邸[代表撮影](時事)

結婚反対派は少数にすぎない

眞子さんが心の傷を負い、皇族の人権が改めて問題となった。事実でない報道と、拡大するネット社会での思い込みや激しいコメントなどが主要因だが、今回の結婚をそんなに多くの人が反対していたのだろうか。

筆者は9月に、「眞子さまの結婚が実現に向かう3つの理由:賛否や心配…分断された国民」という記事を書き、「(結婚に)強く反対する人たち、皇族の結婚の自由を認めるべきだと祝福する人、そして眞子さまの決断を心配する人たちと、国民は3群に分断されてしまった」と記した。反対者の声は大きいかもしれないが、絶対多数ではないことを指摘したかった。

ネットには、数多くの結婚反対者からのコメントが寄せられたが、その上位にこんな書き込みがあった。

「国民が分断されてますか? 圧倒的多数派(結婚反対派)VS極少数派(結婚賛成派)でしょ。この状態を「分断」と書かれるのは間違いではないでしょうか」

結婚反対の方が、自分たち反対派こそ圧倒的多数と信じ込んでいるのが分かるが、事実はそうだろうか。新聞などの最近の世論調査で、結婚賛成派が過半数という結果が出ている。10月6日の読売新聞朝刊によると「よかった」が53%で、「そうは思わない」は33%。ANNの10月16~17日の調査では、「結婚を祝いたいと思う」が61%で、「思わない」が24%。皇族の結婚では、確かに反対者が少なくないのは事実だが、多数派ではないことも明白だ。

しかし、結婚反対派の一部は、国民のほとんどが反対している今回の結婚を破談にさせることこそ正しい、と信じてしまい、人権無視のバッシングを繰り返している。その中に、誤った報道を鵜呑(うの)みにしてしまった方がいたら、メディアの責任も問われることになろう。

コメントから読み取れる皇嗣家の苦悩

長女の結婚について、秋篠宮ご夫妻は「皇室への影響も少なからずありました。ご迷惑をおかけした方々に誠に申し訳ない気持ちでおります」「今回、皇室としては類例を見ない結婚となりました」というコメントを発表された。本来、慶事である内親王の結婚にはそぐわない内容だが、そこに皇嗣家の苦悩が読み取れる。

今回の問題が皇室に影響があるということだが、一番大きいのは国民の一部が秋篠宮家に不信感を持ってしまったことである。誠に残念なことだ。

しかし、眞子さんが皇室を離れたその日に、記者会見で国民に語り掛け、懸命に理解を求めたことで、秋篠宮家に対する見方を変えた方も少なくないだろう。やはり眞子さんは「類例を見ない」言動で、最後の最後に秋篠宮家を救ったのかもしれない。

この一連の騒動を、長男の悠仁さまはどう見つめ、どう思われているのだろうか。

バナー写真:結婚後、記者会見に臨む小室圭さん(左)と眞子さん夫妻=10月26日午後、東京都千代田区[代表撮影](時事)

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