小室圭さんの文書公表と、方針転換の解決金:混迷深まる眞子さまの結婚問題

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秋篠宮家の長女眞子さまと小室圭さんとの結婚問題が、4月8日に公表された小室さんの説明文書によって大きく動き出した。小室さんの母親と元婚約者との金銭トラブルをめぐり、長文の文書には和解の姿勢を示す内容はなかったが、4日後に一転して、小室さん側が初めて相手側に解決金を渡す意向を表明。目まぐるしい展開に反発する国民も多く、結婚問題の混迷はさらに深まっている。

2年ぶりの小室氏の説明文書

米国にいる小室さんが2年ぶりに公表した今回の説明文書は、A4判用紙で28ページにもわたる。はじめに、「私(小室さん)と眞子様の気持ち、そして結婚に対する思いに変わりありません」と結婚への決意を表明している。

そして、「私が沈黙してきたことにより、私や母に対して不信感を覚えている方もいらっしゃると思いますが、この文書をお読みいただくことによって、これまでの事情を理解してくださる方が1人でもいらっしゃいましたら幸いです」と述べ、金銭トラブルの経過などを説明している。

大学時代に知り合った眞子さまと小室さんの婚約は、2017年9月に内定した。しかし、小室家をめぐる400万円余の金銭トラブルが報道され、宮内庁は翌18年2月に婚儀の延期を発表。小室さんは同年夏に米国のロースクールに留学し、19年1月にトラブルに関する1回目の説明文書を公表した。その中に小室さんと母が「元婚約者の方からの支援については解決済みの事柄であると理解」との記載があり、小室家は借金を踏み倒すのかと報道が過熱した。

結婚を疑問視する国民は少なくなく、「令和の皇室」の大きな課題となった。20年11月、眞子さまが改めて結婚の意志 を文書で公表し、秋篠宮さまが記者会見で小室さん側に「見える形」での説明を求められた。そして天皇陛下が21年2月の記者会見でこの結婚問題に言及し、「多くの人が納得し喜んでくれる状況になることを願う」と述べられた。

国民へのおわびの言葉なし

筆者は説明文書を読む前に、小室さんが眞子さまと結婚するための「障壁」となっている問題を解決するため、どう相手側(母の元婚約者)と和解し、また、長い間、心配していた国民に対し、どんな思いを語るのかが気になっていた。

小室さんは自分の正当性を主張して、「色々な事情があったのだということを理解してくださる方が1人でもいらっしゃいましたら幸いです」と締めくくっている。小室さんが目指す弁護士となったとして、民事法廷で勝訴したいのであれば、これでもいいのかもしれない。しかし、今の小室さんがすべきことは、それではなかったはずだと思う。

あれだけの長文の中で、なぜ国民へのおわびがなかったのだろうか。今回は、これまで出回っている誤った情報の訂正を目的にしているとはいえ、多くの国民が皇室の将来を案じ、憂えていることへのメッセージがなかったのは残念だ。

筆者はこの記事で金銭トラブルの法的解釈に踏み込むつもりはないが、1点だけ指摘したい。小室さんは前回(2019年)公表した説明文書の中で、「金銭に関することは『解決済み』と主張していると誤解されている方がいる」と今回の文書の中で反論している。

その脚注には、「『解決済みの事柄であると理解してまいりました』という(前回の)表現は、現在完了形ではなく過去完了形としての表現として書いたものです」などとある。これで分かる人はどれだけいるだろうか。広く国民の理解を得るための文書であれば、もっと短く、簡潔、明瞭であるべきだったのではないか。

「解決したかったら400万円を払えばよい」

小室さんは今回の文書の中で、相手側(母の元婚約者)の代理人が週刊現代の記者であり、その記者から「解決したかったら400万円をポンと払えばよい」という発言があったことを明らかにしている。そして、「弁護士ではない週刊誌の記者が法律問題の代理人になることは弁護士法に違反する懸念」があったことなども記している。筆者は、内親王の結婚問題にふさわしくない刑事事件にならなければよいがと願う。

秋篠宮家ご一家(宮内庁ウェブサイトより)
秋篠宮家ご一家(宮内庁ウェブサイトより)

今回の文書公表を受けて、宮内庁長官は「非常に丁寧に説明されていると感じた。事実関係が理解できた」と評価した。秋篠宮ご夫妻は「小室家側がこの問題を解決するために行ってきた対応が、見える形になるよう努力した」と受け止められているという。

また、「相手と何の話もせずにお金を渡すことはせず、理解を得た上で解決する」という小室さんの方針は、眞子さまの意向が大きかったことも宮内庁が明らかにした。

一転して解決金を出すことに

結婚問題が大きく動き出したと感じられる中、文書公表4日後の4月12日、小室さんの代理人弁護士が、問題解決に向けた次のステップに進むため、相手側に解決金を渡す意向を表明した。

小室さんは4日前の文書で解決金について、こう述べている。

「きちんと話し合いをすることなく解決金を材料に話し合いを終わらせるのは本当の意味での解決にはなりませんし、解決金をお渡ししても借金だったことにされる可能性は否定できないままで本末転倒になると考えたためです。

過去の経緯に関する認識の食い違いについてお互いが納得できた場合には、解決案の1つとしてご提案する可能性を考慮しながら母や母の代理人とも随時話し合ってきましたが、結局、元婚約者の方との話し合いが進まなかったことから、解決金の提案には至っていません」

小室さん側が眞子さまの意向も受けた「解決金見合わせ」を、わずか4日で方針転換して、解決金を出すと決めた背景に何があったのか。宮内庁にはこの間、小室さんの文書に納得しない国民から抗議の電話が続いていた。ある宮内庁関係者はこう語る。

「小室さんの強気な反論が多い説明文書では、天皇陛下がおっしゃった『多くの人が納得し喜んでくれる状況』になるのは無理と判断された方が、まず先に小室さん側が援助いただいたお金を元婚約者の方にお返しするよう、ご意向を示されたのでしょう。かなり上の方でしかできないご指示があったと推察できます」

小室さんの説明文書をきっかけに、結婚問題は確かに動き出したが、それが前に向かって進んでいるのかどうか。混迷は深まるばかりである。

英女王を支え続けたフィリップ殿下の訃報

今回の「小室文書」が公表された翌日、英国エリザベス女王の夫、フィリップ殿下(99)が亡くなった。70年以上にわたり女王に支え続けたが、ご夫妻の結婚は当時、周囲から反対されたこともあった。

エリザベス女王の伯父にあたる国王エドワード8世が、米国人女性との結婚問題などで即位から1年足らずで退位。二男だった父、国王ジョージ6世の即位に伴い、運命のいたずらで10歳の長女(第1子)エリザベスは王位継承権者第1位となった。

13歳のエリザベス王女(当時)が一家で英海軍兵学校を訪問した際に、案内役を務めたのがフィリップ殿下で、女王の初恋の相手となる。フィリップ殿下はギリシャ国王の弟王子の子で、幼い時のクーデターで一家は亡命し、後に渡英した。英国からするとフィリップ殿下は外国人だったこともあり、英王室内では将来の女王に、英国の高位貴族との結婚を望む意見もあった。

フィリップ殿下は婚約を前に英国に帰化し、また宗教もギリシャ正教会からイギリス国教会に改宗した。こうして、二人はあの出会いから8年後に結婚した。

英国のエリザベス女王とフィリップ殿下=2018年10月12日、ロンドン郊外のウィンザー城[代表撮影](AFP=時事)
英国のエリザベス女王とフィリップ殿下=2018年10月12日、ロンドン郊外のウィンザー城[代表撮影](AFP=時事)

日本との関係で、殿下が英王室の“切り札”になることがあった。昭和天皇の大喪の礼(1989年)に際し、英国では議会を中心に天皇の戦争責任を問う声が上がり、日本の皇室との関係を重視したい英王室は誰を派遣するかの知恵を絞った。そして、エリザベス女王の名代として参列したのが、「英女王夫君」フィリップ殿下だった。

女王を支える人生を全うしたフィリップ殿下の訃報に接し、王族にも皇族にもさまざまな出会いがあり、運命のいたずらがその後の人生を思わぬ方向にもっていくこともあるのだと、筆者は感じた。

バナー写真:婚約が内定し、記者会見される秋篠宮家の長女眞子さまと小室圭さん=2017年9月3日、東京都港区の赤坂東邸[代表撮影](時事)

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